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エジプトの首都移転計画を詳しく解説ー新首都の場所•名前•理由などー

2015年にエジプトの首都移転が発表され、2021年の12月から本格的に行政機関の新首都への移転が始まっています。

さらにエジプト政府は、新しいテクノロジーを駆使したスマートシティの構築を目指すとしており、新首都がエジプトの新たな象徴となる日も近いといわれています。こうした移転後の新首都の将来性から、不動産の投資への注目も集まっています。

この記事では、エジプト首都移転の理由や時期など、移転の概要を解説するとともに、不動産の投資先としての可能性についても詳しくご紹介します。

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目次

エジプトが首都移転する理由

エジプトの人口は1億人を超え、中東最多の人口数を誇ります。首都カイロには1,000万人以上が住んでいるといわれており、エジプトの人口は今後も毎年300万人以上増えていく見込みです。
このような爆発的な人口増加が原因となり、エジプトでは、以下の3つの問題が危惧されています。

  • 交通渋滞
  • 環境問題
  • インフラの老朽化

主にこれらの問題がきっかけとなり、首都移転が決定されました。
それぞれの問題について詳しく説明していきます。

交通渋滞

近年、爆発的な人口増加がみられるエジプトですが、今後も長期にわたって人口が増加していくとみられています。

日本貿易振興機関(JETRO)が発表している情報によると、エジプトの人口は、2030年には1億2,000万人に到達し、日本の人口を超えるだろうとしています。さらに、2050年には1億5,000万人まで増加し世界9位の人口規模まで増加し続けると予測しています。

国土の95パーセントが砂漠であるエジプトでは、人が住める都市部に人口が集中しています。そのため、人口増加が続くと、都市部の人口過密がさらに深刻化してしまいます。

例えば、2009年頃から首都のカイロ市での人口増加が顕著に現れはじめ、交通渋滞が問題視されるようになりました。数年前までは、車で30分ほどで移動できていた距離も、今では平日でさえも移動に1時間以上かかってしまうのだといいます。

このように、人口増加にともなう深刻な交通渋滞問題を抱えているエジプトでは、一刻も早い対策が期待されています。エジプトのシシー大統領は、首都移転は混雑緩和対策の一つだとしています。

環境問題

人口増加による人々への影響は交通渋滞だけではありません。

人口が増えていくに連れて、人々の移動手段となる自動車の交通量が増え、排気ガスの排出量が増加しました。また、エジプトで急激に進む工業化なども原因となり、大気汚染や水質汚濁が問題になっています。

さらに、ゴミの排出量も大幅に増加しています。エジプトでは、ゴミの廃棄方法がまだまだ整備されておらず、未だゴミを燃やしている地域もあります。
ゴミを燃やす時に排出されるガスによる空気の汚染や、街に溢れる大量のゴミも大きな問題となっているのです。実際、住みづらさを理由にカイロ郊外に移住している富裕層も増えてきているのだといいます。

エジプトでは、このような生活環境の悪化が見られており、人々への健康被害だけでなく観光業などの経済面への影響が懸念されています。

インフラの老朽化

交通渋滞や環境問題だけでなく、電車などインフラの老朽化が進んでいることも首都移転の決め手となった理由の一つです。

首都カイロには、行政機関や企業が集まっているため、郊外からも人が集まってきます。そして都市中心部では渋滞が慢性化しているため、多くの人が公共交通機関を利用しています。

しかし、公共交通機関である鉄道が老朽化しており、そのリスクが問題となっています。

エジプトの長距離鉄道が整備されたのは、イギリスの支配下にあった19世紀までさかのぼります。エジプトの独立後は国が所有することになりましたが、資金が不足しており新しい設備に投資できなかったため、鉄道の老朽化がかなり進んでいるといいます。
さらにカイロに次ぐ大都市とされるアレクサンドリアとカイロを繋いでいる列車の車両が古くなっており、事故も度々発生しているのだそう。

都市部の渋滞を避けるために国民が利用している鉄道ですが、安全面での課題が問題となっています。

新首都の名前は

2015年にエジプトの首都移転が発表されて以来、新しい首都は「New Administrative Capital(NAC)=新行政首都」としか呼ばれてきませんでした。

2021年エジプト軍エンジニアリング部門は、新しい首都の名前を決めるコンテストの開催をアナウンスしましたが、名前は未だ決定されていません。

公募の条件は以下の3つが挙げられています。

  • アラビア語かつエジプトのアイデンティティを表現していること
  • 2単語以内のシンプルな名前であること
  • 政治または宗教に言及しない名前であること

新しい都市の名前を考案した方には、賞金が授与されるとしています。また、エジプト国家は、新都市の名称だけでなく、スローガンやロゴなども募集しアイデアを積極的に共有するよう国民に呼びかけています。

2022年8月時点でも、未だ新しい首都の名前は発表されておらず、現在も「新行政首都」と呼ばれています。

新首都の場所はどこ?

エジプトの新しい首都は、カイロから東に45kmほど離れており、カイロとスエズ運河のちょうど真ん中あたりに位置します。市の総面積は、約700平方キロメートルとされており、東京都23区やシンガポールの国土面積と同じくらいの面積となります。(出典: ACUD

さらに、新首都は行政機関を移すだけが目的ではありません。
行政区域の他にも、居住区域や、大学などの設立が予定されている文化地域など多様性に溢れた新しい場所が作られる計画となっており、将来的には約700万人が居住することが想定されています。

首都移転の時期はいつ?

エジプトの首都移転構想が発表された2015年には、2020年中の首都移転を予定していました。しかし、世界的な新型コロナウイルスの流行により計画が約2年ほど遅れています。

そしてついに2021年の12月より、半年間の準備期間が伴う移転が開始されました。
大統領府や議会などの行政機関が次々に新首都に移されており、これにともない、これまでに5万人以上の政府関係職員も移動しています。

現在今後のエジプトの新首都開発については第3段階の計画が発表されています。

<第1フェーズ>
第1フェーズでは、新首都立ち上げの中核となる行政地区を含む4万エーカーの開発が行われているといいます。すでに第1フェーズの7割は完成しているとされ、2025年以降からは住宅への入居が始まります。

<第2フェーズ>
第2フェーズでは、さらに4万7,000エーカーの住宅地の開発とビジネス地区の開発が進められます。空港建設や20の高層タワーの建設も第2フェーズのプロジェクトに含まれます。第2フェーズが完成するのは、約6〜7年後だといわれています。

<第3フェーズ>
第3フェーズでの計画では、第2フェーズよりもさらに規模が大きい9万7,000エーカーの土地が開発されます。

これらの3つのフェーズを通して、住宅、教育機関、病院、大規模のモスクや教会、公園、オペラハウスや博物館など、さまざまな施設が建設される予定です。

新首都には中国資本が投下されている

新首都の開発には、中国企業が大きく関わっています。
事業の主体となっているエジプト企業ACUDと中国国家建設工程公司(CSCEC)が手を結び、開発を進めています。CSCECとは、中国最大の総合建設企業であり、発展途上国でも建設も多く手がけている企業です。
一般社団法人 国際建設技術協会によると、エジプトは中国からの融資を得て、ビジネス地区の開発や道路や鉄道の整備を進めているのだといいます。

中国企業が手掛ける高層ビル

CSCEC社が手がけているのは、アイコニックタワーと呼ばれる超高層ビルです。
80階建てのアイコニックタワーは、街の中心部に建設されており、高さはなんとアフリカ大陸一となる385mです。主にオフィスオフィスビルとして使用される予定ですが、ホテルや劇場などの施設も入るとされています。(出典:CSCECのTwitter

アイコニックタワーの他にも、ビジネス地区全体でオフィスビルや住宅ビルなど合計20の高層ビルが建設される予定です。

エジプト史上初となる電気鉄道

2022年7月「ラマダン10日市ライトレール鉄道」と呼ばれるエジプト史上の電気鉄道が開通され、テスト運行が行われました。この鉄道の建設にも中国企業が関わっています。

ラマダン10日市ライトレール鉄道はカイロ市街地と新首都を結ぶ公共交通機関です。
新首都では、住居への入居はまだ始まっておらず、交通機関の整備も十分でないため車が主な通勤手段とされています。

ラマダン10日市ライトレール鉄道の運転が開始された場合、1日に約36万人が通勤手段として利用される見込みだとしています。

首都移転のメリット

エジプトの首都移転による主なメリットは交通緩和やエジプトの経済力が強固なものになることだといわれています。これらの2つのメリットについて詳しく説明していきます。

交通渋滞の緩和

新首都は、インフラとセキュリティをコントロールセンターで監視するスマートシティ構造を目指しています。テクノロジーを導入することにより、渋滞をシステムで緩和できるようになります。

また、新首都内の渋滞の緩和だけでなくカイロ市内の渋滞の緩和も見込まれるとしています。
行政機関はカイロの中心部にあるタハリール広場に集中しており、それがなくなることにより交通が以前よりスムーズになることが考えられます。さらに、カイロ市民が新首都に移ることで、人口が最適化され、混雑緩和につながると予測されています。

エジプトの経済力強化

前項でも述べたような、コントロールセンターでの交通情報の監視の他にも、エジプト政府は新しいテクノロジーを使った持続可能な都市づくりに力を入れています。例えば、ソーラーパネルの設置、支払いのキャッシュレス化など、システムを導入し、より近代的な街となるでしょう。

新首都構想が打ちだされた際には、以下の住宅、施設の建設計画も発表されました。

住宅70万ユニット
モスク700箇所
幼稚園1,250箇所
ホテル4万室
貿易センター地区5.6km²
空港地区16km²
太陽光発電地区91km²
遊園地4km²

(出典:国土交通省

将来的にこれらの施設の建設が完了した場合、新首都は、さらに賑わいをましエジプトの経済活動の中心的役割を担う都市となるでしょう。

首都移転によって懸念されること

革新的な建設計画が進められている新首都ですが、移転によるデメリットもあげられています。

首都移転にともない、貧富の差が広がってしまったり、首都とその他の都市の分離が進んだりしてしまうリスクが考えられるでしょう。それぞれについて詳しく説明していきます。

貧富の差がさらに広がる恐れ

現段階で、新行政首都エリアで売りに出されている新築マンションの価格は、世帯当たりの平均年収の約20倍にものぼるのだといいます。これらの新築マンションは、富裕層や行政職員、公務員などをターゲットとされており、大多数のエジプト市民は手が届かないのは明らかです。

現在、エジプト国民の約3割は貧困下で暮らしているのだといいます。そのため、新首都に移住する富裕層とカイロにとどまるしかない層の格差が今後さらに広がってしまうという懸念があります。

今後は、より価格の安い住宅が建設される予定もあるそうですが、一般市民がアクセスできるようになるにはまだまだ時間がかかることが予想されています。

実際、国内外からの批判も相次いでいます。新首都建設にお金をかけるよりも、貧困層の生活環境の改善のために資金を使うべきという意見があがっています。

都市内外の分離が進む恐れ

首都機能の移転はエジプトだけではなく、世界各国で実施されてきました。代表的な例としては、オーストラリア・ブラジルなどがあげられます。
こうした過去の首都移転事例からもみられるのは、新首都とその他の都市の分離が進んでしまうというリスクです。

カイロから政権が移ったことにより、カイロで起こる問題への対応が遅れてしまうという懸念があります。

実際、カイロ中心部の東側には「エジプト最大のスラム」とも呼ばれるマンシェイヤ・ナセル地区があり、行政が把握しきれない数の人々が不法に住み着いているのだといいます。カイロでの治安悪化も問題視されており、ストライキや暴動などが起きた際の政府の対応の遅れが心配されています。

また、新首都とカイロを結ぶ交通機関は建設されつつあるものの、まだ十分とはいえません。早くても住宅への入居は 2025年末からとなっており、それまでは車での移動がメインとなります。そうなると、カイロと新首都間の渋滞が問題となる可能性も考えられます。

政治機能が、多くの人々が住むカイロと物理的に離れてしまうことにより、新たな問題が生まれることが予想されています。

投資対象としての新首都レジデンス

レジデンスの建設も着々と進んでいる新首都は、将来性が期待される不動産として世界の投資家から注目を集めています。

ここでは、なぜ新首都は資産価値が上昇するとされているのか、その理由について詳しく説明していきます。

新首都は立地が良い

新都市の資産価値が上昇されるといわれている理由の一つは、まず立地のよさにあります。

新首都には空港や国際マリーナが設置される予定で、海外からもアクセスしやすい立地です。さらに、新首都とカイロを結ぶ電気鉄道の建設も進められるため、交通の便も申し分ありません。
一般的に、このようないい立地の物件は、買い手や借り手が集まりやすく、収益性が高まるといわれています。

需要の増加が見込まれる

新首都の構想イメージ

エジプトは人口が急増しており、住居の需要が確実に高まるとされています。
行政の要人や富裕層がターゲットとされているR7地区のレジデンスは、すでに投資先として人気のエリアです。

このエリアではショッピングモールの建設も予定されており、今後新首都の中でも賑わいを見せるエリアとなるでしょう。

着々と物件の建設が進められている中でも、特に注目を集めているのが、ランボルギーニ
が手がけるラグジュアリーレジデンスです。

外装や内装、家具の全てをランボルギーニが手がけて、今後希少価値が高まるとされる住宅です。

また、新首都の開発はエジプト政府にとって大掛かりな計画です。投資先としての安全性は高いといえるでしょう。

以下に紹介するランボルギーニレジデンスは、2021年から1年で物件価格が1.5倍に高騰
不動産投資国としても、世界中の投資家たちからエジプトは期待されています

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エジプトの首都移転計画まとめ

エジプトは現在人口の急激な増加によって、交通渋滞や大気汚染などさまざまな問題を抱えています。これらの問題が首都移転により緩和することを期待し、すでに行政機関の移転を始めています。

新首都は、その高い将来性と投資対象としても安全性が高いといわれていることから、海外の投資家からも人気を集めています。人口の増加が今後の見込まれるエジプトでは、不動産の価格上昇も十分に見込まれるでしょう。
エジプトの新首都の物件も投資候補の一つとして、検討してみても良いかもしれません。

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この記事を書いた人

三井邦弘のアバター 三井邦弘 ブログ編集長

日本生まれの韓国人。関西大学卒業後、ソウルでガイド事業開始。2010年EC運営会社設立。2013年製菓製造販売業開始。2016年和食レストラン開始。2018年ウェブマーケティング会社設立。2019年Token NewsのKorea Managerを担う。現在、アジアとアフリカへ投資(企業、不動産、ETF)実行中。

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