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【税制改正後】海外不動産投資の減価償却を徹底解説|法人と個人の違いなど

【税制改正後】海外不動産投資は減価償却を徹底解説|法人と個人の違いなど

長らく投資家や企業の間で、大きな節税効果を得られるという理由から人気を博していた海外不動産への投資ですが、2020年の税制改正により、そのメリットを受けることができなくなりました

本記事では、今回の税制改正の内容を改めて確認していくとともに、海外不動産の減価償却における注意点や対処法について詳しく解説していきます。

すでに海外不動産に投資している人も、これから海外不動産投資を始めようと検討している人も、改めて減価償却にまつわる税の仕組みを確認するうえで、本記事を参考にしてみてください。

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目次

減価償却で知っておきたいこと

まずは、今回の税制改正の焦点となった減価償却に関する基礎知識を確認していきましょう。

減価償却とは

減価償却とは、資産を取得した際に発生した費用を一括で計上するのでなく、その費用を一定期間に配分する会計処理のことを意味します。

これは、建物や各種設備・機器(固定資産)の取得に要した費用は、取得時にその費用全額が必要経費となるのではなく、当該資産が使用可能とされるすべての期間に渡って、毎年必要経費として計上されるべきであるという考え方に基づきます。

ただし、この考え方が適応される資産は減価償却資産と呼ばれ、時間の経過によりその価値が目減りする資産が対象となります。

減価償却資産は、不動産、車、パソコンなどの有形固定資産と、特許権やソフトウェアなどの無形固定資産のいずれも対象となりますが、骨董品などの時間の経過と価値の変動に相関性のない資産は対象外となります。

これらの考え方とルールに基づいた経費計上の勘定科目が「減価償却費」なのです。

減価償却と耐用年数の関係性

減価償却資産を本来の目的・用途で使用した際に、当該資産の持つ本来の効果が持続する期間のことを「耐用年数」と呼び、耐用年数は減価償却における不可欠の要素でもあります。

耐用年数は、減価償却の対象となる期間を意味し、固定資産の種類によりそれぞれ耐用年数は定められています。

そして、国が定めた「資産価値が維持できる年数」のことを「法定耐用年数」と言い、不動産ひとつとっても、当該建築物の構造と用途によって法廷耐用年数は細かく定められているのです。

詳細は後述となりますが、減価償却費の算出にはこの法定耐用年数が用いられるため、節税メリットという観点からすると、法定耐用年数が短い不動産の方が、そのメリットをより多く享受することができるのです。

加えて、不動産の価値を判断する際は、この法定耐用年数を用いることが一般的ですが、不動産の耐用年数には、他に以下の2つの考え方が存在することもおさえておきましょう。

  • 物理的耐用年数
    建物の骨組みや素材など、建物そのものの劣化により使用不可能な状態に至るまでの期間
  • 経済的耐用年数
    当該不動産の不動産としての価値が完全に消滅するまでの期間

経済的耐用年数は、今後予想される補修・修繕費用なども含めて算出されるもので、主に中古不動産取引において、対象となる不動産の価値判断基準として用いられる指標です。

海外不動産投資では減価償却に注意すべき

海外不動産投資に際する減価償却においては、国内不動産投資とは異なる事情を考慮する必要があります。

ここでは、海外不動産投資の減価償却において注意すべきポイントに加え、海外不動産における減価償却の基本的な関係について解説していきます。

国内外での不動産投資の価格変動の違い

海外不動産の耐用年数は日本よりも基本的に長いため、不動産価値も日本に比べて長期間維持しやすくなっています。

例えば、木造住宅用建物の法定耐用年数は22年ですが、対象不動産が海外でも国内であっても、同じ基準のもとで不動産価値が判断されます

築年数100年を超える中古住宅の流通も珍しくない欧米の不動産市場においては、築年数の長い中古物件であっても高い評価がつきやすく、価格の変動も長期に渡ってゆるやかであるという特徴があるのです。

一方日本はというと、不動産価値が海外と比較しても短命であることから、築年数数年で不動産価格が急激に下落するという特徴があります。

このように、不動産の寿命という観点で見てみると、海外と日本では大きな差があるにもかかわらず、海外不動産も国内不動産も一律の基準で価値判断が下されているのです。

海外不動産投資と減価償却の関係性

先述の通り、海外不動産の価値は日本よりも寿命が長いことから、同程度の不動産に投資する場合、国内よりも海外の物件の方が減価償却を利用して大きな節税効果が期待できるのです。

例えば海外の木造住宅を例に考えると、不動産価値が短命な日本で定められた法廷耐用年数が減価償却費算出に用いられることから、海外不動産市場で一般的とされる耐用年数よりも短い減価償却期間が設定されます。

加えて、海外不動産であっても、国内不動産と同じ所得税法のロジックに基づいて減価償却費が算出されるため、不動産価格の高い海外不動産の方が、より多くの減価償却費の計上が可能となります。

より高額の不動産をより短い期間で減価償却するとなれば、1年あたりの減価償却費が高くなります。

減価償却費が高くなるほど、損益通算することで課税所得を減額し、それに伴い所得税額の減額効果という節税スキームがもたらすインパクトは大きくなることから、海外不動産投資は節税対策として人気が高まっていったのです。

減価償却に関する税制改正内容

大きな節税効果を生む投資方法として人気を博した海外不動産投資ですが、税制改正によって大きくその様相は変わることとなりました。

ここからは、税制改正が行われた背景と改正内容について解説していきます。

改正が生じた背景

そもそも、海外不動産投資を利用した節税スキームが誕生したきっかけは、海外に比べて日本の減価償却の耐用年数が極めて短いという点に目をつけたことが始まりでした。

本来であれば寿命が長く、高い評価が付けられる海外不動産であっても、日本の所得税法に基づき耐用年数が短く計算されるという仕組みが原因となっているのです。

その仕組みを利用して国内では、節税対策のために多くの富裕層が、市場評価額が高く、耐用年数も長い、そして短期間で大きな節税効果を生むアメリカの木造住宅を一斉に購入する動きが生まれました。

そこで国は、2020年の税制改正で、海外不動産で生じた損失のうち、減価償却費に相当する金額は生じていないものとすることを決め、他の所得との損益通算ができないように封じ込めたのです。

定率法から定額法に統一された

2016年の税制改正では、減価償却を利用した節税対策の要となっていた不動産の減価償却の計算方法を定額法に統一しました。

2016年4月以降に取得した不動産については、建物付属設備であっても定額法での減価償却が適用されることとなり、それまで定率法を選択することで行ってきた節税対策ができなくなったのです。

この「定率法から定額法への統一」に関する一連の改正においては、不動産の減価償却を考えるうえで注目すべき点が3つあります。

注目点①:計算方法がわかりやすい

定額法は、毎年の残価値に対して一定率をかけて減価償却費を計算する定率法に比べて格段に簡単な計算で減価償却費を算出することができます。

定額法であれば、減価償却期間中は一律定額となることから、定率法適用時のように毎年の変動に対応して計算し直す必要がないため、計上処理にかかっていた手間が格段に省けるようになるのです。

注目点②:初期収益が高くなりやすい

節税の観点からすると、可能な限り収益を抑えた方が良いと考えられますが、極端に低くなりすぎた収益では、社会的信頼の獲得が困難になるというリスクが生じます。

定率法で、初期収益を極端に減らしすぎると、銀行からの信用を損ねることにつながり、融資やローンを組むことも難しくなります。

その点、定額法であれば帳簿上は安定収益が維持されているため、社会的な信用の獲得が容易になるだけでなく、事業計画や資金計画の策定も行いやすくなります。

注目点③:所得税を抑えにくい

定率法では、初期の減価償却額が最も多く、その後ゆるやかに減少していくため、初期であるほど節税効果が大きくなります。

しかし定額法に統一されることで、減価償却費は一定となるため、あまり大きな所得税の減税効果を見込むことはできなくなりました。

海外不動産投資で減価償却ができなくなったのは個人のみ

2020年の税制改正の影響は、現時点では海外不動産を所有している「個人」のみが対象となっています。

先述の通り、今回の海外不動産に関する税制改正は、個人の富裕層の節税対策に対抗する措置であることから、法人が所有する海外不動産に関しては未着手となっているのです。

法人であれば、所有している海外不動産の減価償却費を損益通算することが可能な状態にあります。

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不動産を利用した一般的な節税方法

不動産と減価償却の関係や、海外不動産による節税対策の封じ込めを目的とした今回の税制対策の内容について解説してきました。

ここからは、不動産投資の基本でもある節税対策のプロセスを大きく2つに分けて解説していきます。

不動産所得は「家賃収入」と「経費」で決まる

不動産所得は、家賃などの収入から必要経費を差し引くことで算出され、「収入」と「経費」それぞれの項目には以下のような費用が含まれます。

  • 不動産投資の収入
    家賃、駐車料、更新料、共益費、礼金、権利金、その他賃貸にかかる雑収入、保証金や敷金の一部
  • 不動産投資の経費
    減価償却費、修繕費、固定資産税、損害保険料、管理費、借入金の返済など

上記のような費用をもとに計算した不動産所得がプラスであれば黒字、マイナスであれば当該不動産は赤字であるということになります。

会計上の赤字を「損益通算」で解消

ここまでで何度か登場している「損益通算」という用語は、簡単に言うと、赤字所得を他の黒字所得と相殺する計算方法を意味します。

しかし、所得税法上10種類に区分けされている所得のすべてにおいて、赤字を損益通算で相殺できると言うわけではない点には注意が必要です。

赤字所得となった場合、他の所得との損益通算が可能な所得は以下の4つです。

  • 不動産所得
    土地や建物の貸付などによって発生した所得
  • 事業所得
    事業を営むことで発生した所得
  • 譲渡所得
    土地・建物、株式やゴルフ会員権などの資産を譲渡することで発生した所得
  • 山林所得
    山林を譲渡することで発生した所得

一部の例外を除き、不動産所得は他の所得との損益通算が対象の所得であるため、最終的に総所得の圧縮と所得税減税に貢献する要素です。

そのため、不動産投資による節税対策においては、不動産による収入・経費・所得だけでなく、損益通算というカードに配慮したうえで、不動産運用をマネジメントすることが大切なのです。

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不動産投資の減価償却シミュレーション

不動産にかかる諸経費の中でも大きな額を占める減価償却費は、所得計算、税額計算、節税対策すべてにおいて重要な要素です。

そのため、具体的に減価償却費や節税効果を予測できた方が、資産運用・節税対策双方の効果の最大化につながります。

ここでは、新築と中古の不動産のそれぞれにおける減価償却を想定しながら、不動産投資の減価償却ポイントについて解説していきます。

「定額法」で減価償却を計算しよう

不動産の減価償却費の計算では、毎年同額の減価償却費が必要経費として計上される定額法が用いられます。

定額法でのシミュレーションを始める前に、不動産の減価償却計算の基本的な流れを確認しておきましょう。

  1. 土地価格と建物価格を分ける
  2. 建物価格と設備価格を分ける
  3. 土地、建物、設備のそれぞれの減価償却費を計算する
  4. 計算結果を合算する

土地、建物、設備の3つに分けてそれぞれの減価償却費を算定する理由は、不動産を構成する要素ごとに考え方や計算方法が異なるためです。

まず土地に関しては、減価償却の対象外であるため、不動産価格から差し引く必要があります。

次に、法定耐用年数に違いがあることから、建物本体と電気や給排水の設備を分けたうえでそれぞれの減価償却費を計算するのです。

建物本体と設備それぞれの価格を割り出せたら、以下の方法で計算していきます。

定額法の計算式

定額法による減価償却費の計算式

減価償却費 = 不動産の取得価格 × 償却率

上記計算式で用いられる取得価格は、純粋に建物だけの取得価格が対象ですので、先述の手順に沿って、不動産価格から土地や設備価格を省いた取得価格を洗い出しておく必要があります。

加えて、上記数式に用いられている償却率とは、法定耐用年数に応じて定められている数値で、減価償却費の算出に不可欠なものです。

2007年の税制改正にて、個人減価償却制度の見直しが行われた際、建物の減価償却費の算出には定額法が用いられることとなり、2007年4月1日以降に取得した建物を対象に新しい定額法償却率が適用となりました。

これから不動産を購入する場合も、この定額法償却率が適用となります。

国税庁の定めた償却率の一覧には、2007年3月31日以前に取得した建物に適用される、旧制度の償却率も併記されていますが、あまり気にする必要はありません。

参考:【国税庁 減価償却資産の償却率表

定額法の参考例

定額法による減価償却の計算を実際のケースを想定して行ってみましょう。

例えば、本体価格が3,000万円で、耐用年数が22年の住宅を購入したとすると、この物件の償却率は0.046となり、これらの値を上記計算式にあてはめてみると以下のようになります。

減価償却費 = 3,000万円 × 0.046 = 138万円/年

定額法では、耐用年数中ずっと定額となるため、この不動産の場合、1年目から30年目まで毎年の減価償却費は138万円ということになります。

細かいルールですが、減価償却においては全額を償却するのではなく、備忘価額として1円を残すルールがあります。

そのため、このルールに従うと、1年目〜29年目までは一律138万円で計上し、耐用年数最終年の30年目の減価償却費のみ138万円から1円マイナスした137万9,999円になるのです。

新築物件での減価償却の計算方法

減価償却費の基本的な計算方法がわかったところで、次は新築物件の減価償却の計算方法を見ていきましょう。

ここでは、5,000万円で購入した新築RCマンションを例に考えていきます。

2022年完成の新築マンションの場合、2007年の税制改正後の償却率が適用されるため、法廷耐用年数47年で償却率は0.022です。

新築物件は、その名の通り新築であるため、耐用年数はそのまま法定耐用年数を使用して問題はありません。

これらの値を先ほどの減価償却費の計算式に当てはめると、以下のような結果となります。

減価償却費 = 5,000万円 × 0.022 = 110万円/年

中古物件での減価償却の計算方法

では次に、中古物件の減価償却の計算方法を見ていきましょう。

ここでは、築15年の中古RCマンションを3,000万円で購入した場合を例に考えていきます。

中古物件の減価償却を計算する際、耐用年数が分からないため、そのまま先ほどの計算式を用いることができません。

そこでまずは、中古物件の耐用年数を確認するところからスタートします。

築15年の中古RCマンションの耐用年数を確認する際には以下のような計算式を使用します。

耐用年数 = (法定耐用年数(47) – 経過年数(15))+ 経過年数(15) × 0.2 = 35

国税庁の定める償却率では、耐用年数35年の耐用年数では0.029です

ここまで各値が出揃ったら、先ほどの減価償却の計算式にあてはめて計算します。

減価償却費 = 3,000万円 × 0.029 = 87万円

以上の計算により、この中古RCマンションでは、年間87万円の減価償却費を35年間計上することがわかりました。

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減価償却の計算で注意すること

減価償却の計算方法を正しく理解し、活用するためには、いくつかの注意点をおさえておく必要があります。

ここからは、代表的な5つの注意点について解説していきます。

減価償却は建物のみ対象

先ほどの減価償却の計算ロジックでも触れたように、土地価格は減価償却の対象にはなりません

土地そのものの価値は、何年時が経過しようと、その場所にどのような建物が建とうと変わることはないことから、経年による価値の低下を考慮する減価償却の対象とはならないためです。

そのため、減価償却を計算する際は、不動産価格から建物本体価格のみを割り出して計算する必要があります。

もしも土地と本体それぞれの価格が不明な場合は、固定資産税の評価額の比率などをもとに按分して割り出すことになるため、売買契約時には按分計算のロジックを明確に定めたうえで証明書類を保管しておくことが大切です。

法人であれば海外不動産投資は継続して可能

2020年の税制改正により、海外不動産の減価償却を利用した損益通算による節税対策を封じられた対象は個人の不動産所有者であり、法人は対象となっていません。

そのため、法人であれば引き続き海外不動産を節税対策として所有・運用することができます。

ただし、法人による減価償却を利用した節税スキームは、個人のそれとは異なり、支払う税額自体を減らすものではなく、支払うタイミングを分散し繰越す「税金の繰延」です。

そのため、節税効果を得るためには、購入のタイミングや収益計画を綿密に練っておかなければならないため、本当に自社にとって節税効果が生まれるのかという点をよく検討したうえで投資判断を下すことが重要なポイントとなります。

今後は法人でも減価償却が適用されない可能性もある

2022年12月の現時点では、法人所有の海外不動産の減価償却が損益通算の対象外となる動きはないものの、中長期的に見れば規制対象となる可能性は拭いきれません。

投資を利用した企業や個人の節税対策は、脱税や租税回避につながる可能性があることから、徐々に規制が厳格化していくことが予想されています。

定率法での算出は廃止されている

不動産を対象とした減価償却の算出には、2016年の税制改正以降、全て定額法を用いて計算することが義務付けられており、定率法は事実上廃止されています。

ただし、定額法での算出が適用となるのは、2016年4月1日以降に取得した不動産であるため、それ以前に取得し、定率法を適用して減価償却をしている不動産に関しては、耐用年数終了まで定率法での償却が続くという違いが生じます。

今後発生する不動産の売買契約においては、すでに定額法で統一されているため、定率法に関しては「そういう制度がかつて存在していた」という程度の認識でよいでしょう。

減価償却費は月単位で換算しよう

ここまで、減価償却費は年単位で計算してきましたが、基本的には月単位で換算されるという点に注意してください。

特に、不動産を購入した当年の減価償却費は、先述の通り(取得価格 × 償却率)の計算式で算出された年単位の税額を月単位に換算して、実際に不動産を所有していた期間のみにかかるよう調整しなければなりません。

例えば、4月に不動産を購入した場合であれば、減価償却費は(取得価格 × 償却率)× 4ヵ月 / 12ヵ月で計算するため、結果、年額の3分の1の額が当年の減価償却費となるのです。

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海外不動産の減価償却についてよくある質問

税制改正をきっかけに、海外不動産投資にかかる税金の仕組みを改めて知ったという人も少なくありません。

ここからは、海外の不動産投資と減価償却について、多くの人が抱く質問に答えていきます。

減価償却を考慮した不動産価値にはどのような税金がかかりますか?

海外不動産投資を行っている場合に発生する、当該不動産の運用で得た家賃収入などの収入から必要経費を差し引いた不動産所得は、その他の所得と合算され、総所得として課税対象となります。

そのため、総所得額に応じて所得税、住民税が課され、支払い義務が生じます

また、不動産の売却時には、売却益に対する譲渡所得税の支払いが発生します。

今回の税制改正で焦点となった「海外不動産の減価償却による損失の損益通算不可」という規制によって切り捨てられた減価償却費は、この譲渡所得税で減価償却費用相当額を控除できるようになっています。

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なぜ法人では海外不動産に減価償却が適応できるのですか?

結論から言うと、法人の場合は海外不動産投資を行うだけでは節税効果を生むことがないため、法人所有の海外不動産の減価償却費は損益通算対象となったままであると言えます。

その理由としては、当該不動産を売却した際の売却益に対する法人税の課税ロジックが関係します。

法人の場合、個人が得た不動産の売却益に対する譲渡所得税のように、所有年数で課税額が変わることはなく、一律の法人税率で課税額が決定されます。

そのため、減価償却費を計上した年の法人税は圧縮できても、売却益に対してかかる法人税は変わらないことから、長い目で見れば、不動産の減価償却だけでは単に課税時期を先延ばしにするだけの税金の繰延策となってしまうのです。

さらに、法人税法では減価償却費の任意償却が認められているうえに、償却額は上限額は設けられているものの下限額は未設定です。

そのため、企業は減価償却費を計上してもしなくても問題はありません。

むしろ、先述の「税金の繰延」という実態に加え、減価償却することで物件売却益が増え、課税額が増える可能性を考慮すると、減価償却をしなくても良いという選択をする企業が増える仕組みになっているのです。

このような背景から、法人の海外不動産投資については、規制対象外としても問題ないという判断に至ったのだと考えられます。

減価償却が計上できなくなった海外不動産の対処法

減価償却を損益通算に計上できなくなったことで、海外不動産に投資するうえでの大きなメリットが失われました。

節税目的で海外不動産に投資していたり、これから投資を検討していたりする場合、今後はどのような姿勢・方向性で海外不動産投資をおこなっていけばよいのでしょうか。

最後に、今後の海外不動産投資への取り組み方を4つのポイントに絞って解説していきます。

キャピタルゲインの金額を重視する

節税効果が事実上失われた海外不動産投資ですが、今後はキャピタルゲイン目的による投資の動きが広がっていくことが予想されます。

その背景には、日本国内における不動産投資のメリットが低減する中、経済成長と人口増加が期待できる海外不動産に投資対象を切り替える潮流が強まっていることがあげられます。

今後の不動産価格高騰を予測し、キャピタルゲインを狙って積極的に投資していく手法が今後の海外不動産投資の主流となってくるでしょう。

管理が難しいならすぐに売却する

減価償却による節税のみを目的として保有していた不動産に関しては、運用成績や管理負担などを総合的に勘案した結果、売却することも賢明な選択の一つです。

海外不動産の所有・管理には、現地のエージェント費用や定期的な渡航費など様々な費用負担が発生します

節税メリットが失われて、管理負担に対する費用対効果が低いと感じられる不動産であるなら、早々に手放した方がよいでしょう。

家賃収入で収益を上げ続ける

節税目的で所有していた海外不動産であっても、家賃収入が安定的に得られており、黒字運用が継続しているのであれば、急いで売却する必要はありません。

減価償却費の損益通算ができなくなったことは痛手ではありますが、キャピタルゲインでしっかり稼げるのであれば、そのまま運用を続けて、節税は別の方法を検討した方が、中長期的に得られるメリットは大きくなるでしょう。

複数の海外物件に資産を分割しておく

海外不動産への投資も、株式や外貨への投資同様に分散させておくことで、仮に赤字が出た場合でも黒字と相殺が可能となり、ダメージを最小化することができます。

リスクヘッジという観点に加えてキャピタルゲインという点でも、海外不動産投資はその他の投資方法に比べて、高い利回りを得られる可能性が高い投資方法です。

未開拓の後進国や経済成長が著しい新興国など、複数の国の不動産に資産を分散させておくことで、投資リスクを軽減すると同時に、より大きな利益を生み出すことが期待できます。

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まとめ

減価償却の損益通算による節税という大きなメリットが得られなくなった一方で、アメリカや韓国などにおける不動産価格の高騰を受け、海外不動産への投資熱は依然として高まりを見せています。

日本では、海外不動産投資によって得た収入もすべて所得として課税対象となるため、海外不動産へ投資する場合でも、税制に関する理解と税金に対する適切なマネジメント力が不可欠です。

これから海外不動産投資を始めよう、または、新たな不動産に投資しようと検討している人は、税金の仕組みに対する理解を深めながら、キャピタルゲインや資産の分散を念頭に置いて投資先を決めていきましょう。

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この記事を書いた人

三井邦弘のアバター 三井邦弘 ブログ編集長

日本生まれの韓国人。関西大学卒業後、ソウルでガイド事業開始。2010年EC運営会社設立。2013年製菓製造販売業開始。2016年和食レストラン開始。2018年ウェブマーケティング会社設立。2019年Token NewsのKorea Managerを担う。現在、アジアとアフリカへ投資(企業、不動産、ETF)実行中。

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