ドバイの不動産市場は近年、国際的な投資家に注目されており、日本人投資家にも魅力的な選択肢のひとつです。
基本的にドバイでは税金がかからず、税金対策の為に移住する人が不動産を購入したり、キャピタルゲインに対する課税対象を設けていないことなどから投資対象として不動産を購入しています。
このような背景から、ドバイではバブルのように不動産価格が上がっている状況です。
本記事では、ドバイでの不動産購入方法やその流れについて詳しく解説し、日本人投資家が注意すべきポイントを明らかにします。
ドバイ不動産の基本情報
まず最初に、ドバイで不動産を購入をするための基本情報をみていきます。
UAEは外国人投資家を歓迎している
UAEでは、2002年に法律が改正され、外国人が特定の地域で不動産を購入・所有することが認められるようになり、他の国に比べて規制が少なくなりました。
これにより、外国人投資家がUAEの不動産市場に参入しやすくなり、不動産開発や建設プロジェクトが急速に進展しています。
ただし、外国人が不動産を購入できるエリアは「フリーホールド地域」と呼ばれる限定された地域です。
ドバイには不動産協会が存在しない
不動産協会とは、不動産事業に関わる企業により構成される業界団体で、例えば日本には全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)があります。
住宅供給および都市整備等不動産に係る事業ならびに不動産業の健全な発展を図り、国民経済と国民生活の向上に寄与することを目的としています。
また、会員に対して市場情報、業界動向、法律や規制の変更に関する情報を提供し、イベントやセミナーを開催して、業界の発展とコミュニティの強化に努めています。
しかし、ドバイでは不動産協会がないので、エージェントによって所有している物件の質が異なるのが実情です。
建設中以外の物件では、価格も売り手の言い値でスタートするため、不動産投資で成果を出すには、多くの知識と情報が不可欠です。
したがって、日本人が慣れない土地で1人で探すよりも、信用できる現地の専門家や企業に相談し、良い不動産物件を特別に探してもらうのが賢明な取り組み方でしょう。
外国人はフリーホールド以外の土地を買えない
前述の通り、UAEでは、外国人はフリーホールド地域でのみ土地を完全に所有することができます。主にドバイやアブダビなどの大都市に設定されており、外国人投資家が参入しやすい環境が整っています。
フリーホールド以外の地域では、「リースホールド」の形式で長期リースが可能です。リースホールドとは、土地の所有者(通常はUAEの市民)から一定期間土地をリースする契約を結ぶことです。
リースホールド契約期間中は、リース者が土地を利用できますが、契約期間が終了すると土地の利用権は元の所有者に戻ります。
人気物件は数日間で完売することが多い
UAEの不動産市場は世界的にも人気が高く、多くの投資家が注目しています。
そのため、人気物件はすぐに完売することが多いのが実情です。
例えば、2022年に公開されたドバイ不動産プロジェクトElitzは、完成は3年後にも関わらず即完売と驚異的な反響がありました。
したがって不動産投資で有利な物件を探す場合は、人気のディベロッパーから常に最新情報を入手しておくことが大切です。
ドバイ不動産の購入にはパスポートが必要
ドバイで物件を選定したら、不動産会社との間で契約を締結して購入手続きに入ります。
契約内容には、物件の価格、支払い方法、引渡し日、登記手続きなどが含まれ、契約書は英語で作成されることが一般的です。
そして、このときに本人確認が行われますが、国籍問わず「顔写真付きの証明書」が使われています。
外国人居住者であれば、「在留カード」や「特別永住者カード」、非居住者であればパスポートの提示が必要です。
つまり、一般的に日本人が不動産購入時に唯一必要なのが、パスポートということになります。

ドバイの物件別購入方法
この章では、日本人がドバイでの物件を購入する方法を、新築物件と中古物件に分けて説明します。
新築物件|ディベロッパーから直接購入
ドバイで新築物件を購入する場合は、ディベロッパーから直接購入する方法があり、不動産会社を通して購入するよりも安くなる可能性があります。
具体的にどのような状況なのかを、詳しくみていきましょう。
プレビルド物件として販売されていることがほとんど
ドバイの不動産市場では、プレビルド物件が非常に一般的です。プレビルド物件とは、建設中または計画中の不動産プロジェクトを購入することを指します。
ドバイはビジネス、観光、住宅としての需要が高まっているため、新たな不動産プロジェクトが計画され、プレビルド物件が市場に出回っています。
そして、プレビルド物件に対する投資家の関心が高く競争が激しいため、物件が図面の段階で完売することが多くあるのです。
完成・引き渡しまでに分割払いで支払う
ドバイのプレビルド物件では、建設の進行段階に応じて分割で支払う方法を取ります。
このことにより購入者にとっての負担が減り、ディベロッパーにとっても資金調達を容易にする有益な手段となります。
中古物件|所有者から直接購入
ドバイの中古物件は不動産エージェントを通じて購入するケースも多くありますが、仲介手数料の節約や、所有者との交渉に柔軟性があるため、直接購入のかたちをとることもあります。
中古物件は自身で市場調査する必要がある
ドバイの中古物件市場は活発で競争が激しく、価格や取引条件が急速に変化することがあります。不動産業者は広範囲なネットワークを構築していますが、質や範囲は業者ごとに異なり、同じレベルのものではありません。
したがって、物件の現在価格や地域ごとの価格差の把握には、自分で市場調査をすることが必要であり、それにより適正価格で物件を購入するための交渉力が向上します。
融資がないため一括での支払いが基本
ドバイに住んでいない日本人が不動産を購入する際に、融資を受けることは通常困難です。
その一方で、外国人がドバイで購入できる物件は、フリーホールドエリアに限定されており、土地と建物の完全な所有権を持つことができるので、資産価値が下がりにくい物件が多いです。
したがって、そのような人気物件を購入するには、一括で支払える資金力が必要となります。
ただし、不動産市場は常に変動するため、ドバイの不動産に投資する際には、市場調査や専門家の意見を十分に参考にすることが重要です。
ドバイ不動産購入の流れ
ドバイ不動産の基本情報や、物件別の購入方法を理解したところで、日本人が不動産を購入する際の具体的な流れを見ていきましょう。
STEP1:ディベロッパーとエージェントを選ぶ
購入予算や、希望するエリア、物件タイプが決まれば、その地域や物件タイプに精通した信頼性の高い不動産エージェントを選びます。
エージェントと協力して、希望に合った物件を検索し、そのディベロッパーを通じて内覧を行います。内覧時には、物件の状態や周辺環境、アクセスや利便性などをチェックすることが重要です。
STEP2:パスポートを取得しコピーを用意する
前述のように契約には顔写真入りの身分証明書が必要となるので、パスポートの準備をします。パスポートを所有していない人は準備をし、コピーを取っておきましょう。
STEP3:書類と資金の準備
希望する物件が見つかったら、エージェントと相談して適切な価格を提示し、ディベロッパーにオファーを出します。
価格交渉が成立すれば、物件価格の10%程度を手付金として支払い、物件を一時的に取り置きして、書類や資金の準備に入るのが一般的です。
STEP4:購入の手続き
ディベロッパーと売買契約書(SPA: Sales and Purchase Agreement)を作成し、契約内容に問題がないことを確認した上で、双方が署名します。
STEP5:ドバイ不動産局に申請
物件完成後にドバイ不動産局(Dubai Land Department)にて、物件の登記手続きを行います。登記手続きには、売買契約書やパスポートのコピー、登記手数料などが必要です。
登記手続きが完了したら、残金を支払い、売り手から買い手へ物件の鍵が引き渡されます。
ドバイ不動産購入時の支払い方法
ドバイ不動産は、世界的に注目度が高いため、支払い方法も安全に対する万全の対策が行われるのが一般的です。
通常エスクロー会社の指示に従い入金処理をする
ドバイの不動産売買では、詐欺防止のため売主と直接金銭のやり取りをすることはなく、間に中立な第三者であるエスクロー会社が入り、取引が正しく完了することを保証します。
具体的には、エスクロー会社がエスクロー口座を開設し、買い手からの予約金や購入代金を預かります。
そして、売り手と買い手が契約条件をすべて満たしたことを確認した上で、資金の移動や物件の所有権移転が行われるのです。
手続きは小切手で行うことが多い
ドバイの不動産売買において、支払い手続きで小切手を用いることが一般的で、直接現金でやり取りを交わすことは殆どありません。
これは、ドバイの取引文化や銀行システムに由来する習慣であり、現地の不動産業界で広く受け入れられています。

ドバイの不動産購入時に発生する税金
ドバイでは非常に税金が軽いため、不動産売買も低コストで行うことが可能ですので、ここではその実情を見ていきましょう。
不動産取得税が物件価格の4%発生する
ドバイの不動産購入時には、不動産取得税が物件価格の4%発生します。
これは、ドバイ不動産局において物件の登記手続きを行う際に必要な手数料で、通常、売り手と買い手が折半で負担しますが、取引ごとの合意により異なる場合もあります。
居住物件の購入時は付加価値税が発生しない
ドバイおよびアラブ首長国連邦(UAE)全体では、居住用不動産の購入時には付加価値税(VAT)は課されません。これは、UAE政府が不動産市場の安定を維持する目的で、居住用不動産をVAT非課税として定めているためです。
ただし、商業用不動産の購入や賃貸には5%の付加価値税が適用されるため、不動産取引の際には注意が必要です。
固定資産税や相続税などは発生しない
ドバイおよびアラブ首長国連邦(UAE)では、固定資産税(プロパティタックス)や相続税が存在しないため、不動産売買においてこれらの税金が発生することはありません。

ドバイの不動産購入方法に関して覚えておきたい4つのこと
ここでは、日本人がドバイで不動産を購入する際に、事前に知っておかないと損をしたり義務の不履行になる事項を4つお伝えしますので、実際に購入するときのために心にとめておいて下さい。
ドバイの土地購入を謳った詐欺が見受けられる
ドバイをはじめとする不動産市場が盛んな国では、残念ながら詐欺が存在します。
ドバイの土地購入詐欺に関連する典型的な例では、「非現実的なリターンの約束」「偽の物件情報」「偽のディベロッパーやエージェント」などがありますので、十分に注意が必要です。
これらの詐欺を避けるために、デューデリジェンス(情報収集)の徹底、公式な登録の確認、エスクロー口座の利用をきっちりと実施しましょう。

物件は売主の言い値で販売される
ドバイの不動産市場では、売主が希望する価格(言い値)で物件が販売されることが一般的です。しかし、下記のようなケースでは価格交渉を行うことも可能です。
- 不動産市場の低迷
- 物件の欠陥や改善が必要な状況
- 長期間売れ残っている物件
- 緊急の資金調達が必要な売主
購入時の手数料はエージェントによって異なる
ドバイの不動産市場では、エージェント手数料は通常、物件の購入価格の2%から5%の範囲で設定されています。
しかし、エージェントによってはこれよりも低い手数料を設定している場合もあります。
また、物件視察時の送迎費など請求される費用が異なったり、購入時は1~2か月分の賃貸料をエージェントに支払うこともあります。
エージェントを選ぶ際には、手数料だけでなく、サービスの質やエージェントの経験・評判を総合的に検討することが重要です。
日本居住の場合日本の税制に従って納税義務がある
日本では、居住者の所得に関しては世界中で発生した所得に対して納税義務があります。これは、日本人居住者がドバイで不動産を所有し、そこから所得が発生した場合も含まれます。
ドバイは税金が限りなく少ないですが、日本での税金は発生するので注意が必要です。

ドバイ不動産購入時に日本人が注意すべきこと
当然のことですが、ドバイでは日本人は外国人とみなされるので、不動産購入時には注意すべきポイントがいくつかあります。
日本人価格で提示される可能性が高い
ドバイで不動産を購入する際、外国人(日本人)として価格が提示されることはあり、その主な要因は下記の通りです。
- 現地の不動産市場に詳しくない場合、情報の非対称性が生じ、その結果、価格が高くなる
- 日本語を話せるエージェントやディベロッパーを利用する場合、そのサービスの対価として 価格が上乗せされる
- 不動産購入に際して、日本人向けの特別なサービスやサポートが提供される
英語がわからないと売主に有利な条件を提示されやすい
日本人にありがちですが、英語がわからない場合、ドバイでの不動産購入において、売主に有利な条件が提示されやすいので、気を付けなければなりません。
ドバイでは自身で不動産会社を探すことになるので、情報の正確な理解力が求められます。
そのため、現地の不動産市場について自分で調査し、価格や条件についての知識を深めることで、交渉力を高めることが重要です。

ドバイの不動産購入方法に関する質問
最後に、ドバイ不動産購入方法で、よくある以下のような日本人からの質問について説明します。
ドバイ不動産購入時にローンを組むことはできますか?
インドなど一部の国籍を除いて融資を受けることはできないため、全額現金で行う必要があります。ただし、日本の銀行や金融機関で借り入れをして、その資金を海外送金する方法があります。
ドバイ不動産の購入にはビザが必要ですか?
ドバイで不動産を購入するためにビザは必ずしも必要ではありません。
外国人はドバイで不動産を購入できますが、その購入によって自動的に居住権やビザが得られるわけではありません。
したがって、現地に移住する際はビザが必要となります。

まとめ
本記事では、ドバイ不動産の購入方法、購入の流れ、そして日本人が注意すべきポイントについて解説しました。
ドバイの不動産市場は活況を呈しており、適切な知識と注意を払えば、良い投資機会を見つけることができます。
現地でローンが組めないという壁もありますが、解説した通り日本でローンを組んで送金するという方法もありますので、興味のあるかたは是非トライして下さい。
本記事が、ドバイ不動産購入を考えている日本人の方の参考となれば幸いです。