近年、海外不動産投資を始めようとする機運が高まる中、海外のワンルーム物件への投資に注目が集まっています。
日本における不動産投資では、高い人気を誇るワンルーム物件ですが、海外物件となると、様々なリスクを想像してしまい、尻込みしてしまう人も少なくありません。
本記事では、海外不動産投資でワンルーム物件を選ぶメリット・デメリットに加え、ワンルーム投資をする場合のおすすめのエリアと、投資成功のためにおさえておきたいポイントについて解説していきます。
「海外不動産投資を始めてみたいけど、初心者にはリスクが高そうで不安」
「海外のワンルーム物件への不動産投資で、注意すべきポイントが知りたい」
このような不安や疑問を抱えている方はぜひ、ワンルーム投資を前向きに検討するうえでの参考にしてみてください。
海外不動産投資の物件はワンルームを含めて4パターン
海外不動産投資において、対象となる物件のタイプは大きく4つのパターンに分けられます。
物件パターンが4つに分けられる点は、日本における不動産投資においても変わりません。
投資家は、投資目的や投資可能額などの諸条件と、それぞれの物件パターンを比較検討したうえで、各々が自分に適したタイプの物件を選んで投資します。
ここでは、この4つの物件パターンについて、それぞれの特徴を解説していきます。
ワンルームマンション
ワンルームマンションは、安定収入を得られる不動産投資先として、近年人気が高まっています。
このタイプの物件は、単身世帯向けであることから、駅近などの立地条件に恵まれれば、入居率を高い水準に保ったまま、安定的な運用ができる可能性が高い不動産です。
ファミリーマンション
ファミリーマンションは、2LDK以上の部屋数がある物件で、子育て世代の入居が目立つ傾向にあります。
ファミリー向けマンションに投資する場合は、今後の人口増加が見込まれている国や出生率の高い国を選ぶことがポイントです。
ちなみに、日本のように、少子化による人口減少の進行に加え、離婚率の上昇や未婚者の増加といった社会的背景がある場合、ファミリーマンションは将来的に空室リスクが高く、ワンルームマンションの方が高い運用成績が期待できる不動産と考えられます。
マンション一棟
マンション一棟を丸ごと保有し、家賃収入や売却収入を得る方法は、初期費用の大きさという課題さえクリアすることができれば、メリットの大きい不動産投資となります。
まず、一棟マンション投資は、ワンルームなどの区分投資と比較すると表面利回りが高いと言われています。
参考値をあげておくと、日本における一棟マンション投資の平均利回りは、2022年12月のデータで、7.94%であったのに対し、区分マンション投資の平均利回りは、7.11%となっています。
加えて、1つの棟の中で、ワンルームやファミリータイプなどの異なるタイプの物件を保有し、運用できることから、空室が出た場合でも相互で黒字補填でき、リスク分散に役立ちます。
加えて、昨今の不安定な海外情勢を考慮すると、国内にマンション一棟を保有しておくことは、不動産投資におけるリスク分散としても妥当な投資方法と言えます。

一軒家
一軒家への投資は、一棟マンション投資と比較しても、初期費用が抑えられるというメリットがあります。
物件価格はもちろん、維持・管理費も一棟マンション投資よりずっと安く抑えることが可能で、利回りも高くなりやすいという特徴を持っています。
ただし、国によっては外国人への土地の所有権移転が認められていないケースもあるため、物件選定の際には、当該国のルールを念入りに確認しておく必要があります。

海外不動産投資でワンルームを選ぶメリット5つ
4つの物件パターンの中でもワンルームへの投資は、海外不動産への投資経験豊富な投資家はもちろん、海外不動産投資の初心者であっても、様々なメリットを受けることができます。
ここからは、海外のワンルーム投資に焦点を当てて、ワンルームを選ぶ5つのメリットについて解説していきます。
費用が抑えられる
ワンルームの購入費用は、他のファミリー向け物件や丸ごと一棟、戸建てなどの物件パターンに比べて、低価格の投資費用で購入・運用することが可能です。
物件価格だけ見ても、4つの物件パターンの中で最も低価格で販売されているケースが多いのが、ワンルームです。
また、物件の修繕費や維持・管理費という必要経費に関しても、低く抑えることができる可能性が高いため、投資可能資金が少ない場合や、小規模で不動産投資を始めてみようという場合に、手が出しやすいというメリットがあります。
利回りがよい
海外不動産投資においてワンルーム物件を選択した場合、中長期的な保有を考えれば、比較的良い利回りで運用できる可能性が高いというメリットがあります。
先述の調査報告においては、表面利回りであればマンション一棟への投資の方が良いと解説しましたが、マンション一棟の保有には相応の維持管理費や修繕費用が発生します。
そのため、実質利回りを考えると、必要経費の少ないワンルームの方が結果的に良い利回りで運用できる可能性が高くなるのです。

リスクの分散や回避に適している
海外不動産投資は、資産を分散させることができるため、リスクの分散・回避において高い効果を期待することができます。
不動産価格は、その国の政治経済や社会情勢に大きく影響を受けることから、一つの国に資産を集中させておくと、不動産価格の急落や自然災害など、様々な理由により資産に大きな損失を与えることになりかねません。
そのようなリスクを最小化するうえで、海外不動産投資は得策であり、中でも購入価格や運用コストの低さから、ワンルーム投資はおすすめのリスク分散・回避策であると言えるのです。
物件の管理がしやすい
ワンルーム投資では、管理対象となる面積や設備が小規模であるため、購入後の維持管理が比較的容易であるというメリットもあげられます。
マンション一棟への投資であれば、各部屋の管理に加え、建物全体の耐震性や共有部分の老朽化などにも目を配る必要があり、管理会社費用や、場合によっては管理人費用も発生します。
投資する不動産のスケールが大きくなればなるほど、管理にも相応の時間と労力、費用が必要となってくるという点において、ワンルーム投資における管理の手軽さは魅力の一つと言えます。
ターゲット層が広い
不動産を運用するうえで重要なポイントとなる入居率においても、ワンルームはそのターゲット層の広さから、空室リスクを最小化できるというメリットがあります。
ファミリーマンションや一軒家への入居者はファミリー層に限られますが、ワンルームの場合、入居者のタイプは実に多様です。
ワンルームの運用では、学生や独身の社会人に加え、単身赴任者や片親世帯、単身高齢者など、様々なカテゴリーの人を入居者のターゲットとすることができます。
そうすると、自ずとワンルームに対する需要は高くなるため、空室が発生してもすぐに次の入居者が決まる回転率の高さという点で、他の物件パターンに比べてワンルームの方が有利となる可能性が高いのです。

海外不動産投資でワンルームを選ぶデメリット4つ
初期費用や運用資金の低さに加え、運用の手軽さや利回りの良さなど、海外不動産投資でワンルームを選ぶメリットは様々ですが、デメリットも存在します。
ここからは、海外不動産投資でワンルームを選択するうえで考えられる、代表的な4つのデメリットについて解説していきますので、自身にとってどれだけリスクとなり得るかを確認していきましょう。
エリアによっては需要が少ない
海外不動産投資の場合、購入先のエリア選びが、投資成果を大きく左右する重要なポイントとなっていきます。
例えば、学校や病院、公園などが近いエリアであれば、単身者よりもファミリー層向けの物件の需要が高くなるでしょう。
その反面、主要路線の乗り入れが多く、ビジネス街や繁華街へのアクセスが良い駅の近くであれば、単身者向けのワンルームの需要が高く、高い入居率を維持できることが期待できます。
とはいえ、高い需要に対し、あまりに多くのマンションが建設中である場合などは、程なく供給過多となることも考えられるため、エリア選びは多角的な観点から慎重に行う必要があります。
入居者の回転が早い
ワンルーム物件は、入居者の大半が単身者であるため、人気エリアであれば入居率が高まる反面、居住期間がファミリー層に比べて短い傾向にあり、入居・転居の回転が早いというデメリットが生じます。
日本国内を例にあげてみると、日本賃貸住宅管理協会による調査では、2021年度の賃貸物件における単身者の平均居住期間は3年3ヵ月で、ファミリー層が5年1ヵ月であるのに対し、2年近く短くなっています。
単身者はファミリー層に比べて、転勤や地方移住などを理由に身軽に転居する傾向が強いという点は、ワンルームへの不動産投資において、考慮すべき重要ポイントと言えます。
空室が頻繁に発生するということは、家賃収入が不安定になるというリスクを意味するため、入居期間が短くても、回転率を上げて、空室期間を可能な限り減らす策を講じなければ、マイナスの投資成果に転じてしまうでしょう。
収入が低い・マナーが悪い入居者によるトラブルがある
海外のワンルーム物件への不動産投資では、入居者の大半が単身者であるということから、様々なトラブルが発生する可能性があります。
例えば、ワンルームの入居者ターゲットとなる単身者には、学生や単身の非正規雇用者なども含まれるため、世帯収入がファミリー層に比べて不安定な傾向にあり、家賃滞納が発生するリスクが高くなります。
さらに、生活リズムが入居者によって異なることも多いため、夜間の騒音トラブルも起こりやすい環境にあります。
加えて、ワンルーム物件のあるマンションやアパートでは、ファミリーマンションのように管理組合や管理人が設けられていることは、ほとんどありません。
そのため、ゴミ出しルールや共有部の使い方などをめぐって、マナー違反な入居者による秩序の乱れも発生しやすくなり、結果的に物件価値の低下にもつながる恐れがあります。
節税効果が低い
節税目的で海外不動産投資を行う場合、ワンルーム物件への投資では、大きな節税効果を期待することはできないでしょう。
理由としては、これまで海外不動産投資を活用した節税スキームとして人気の高かった、物件価格を減価償却費として日本国内での所得と損益通算する方法が、税法改正により封じられたことが最も大きいでしょう。
そのため、海外不動産を利用して節税効果を得るためには、複数の海外不動産を保有・運用して得た運用益や日本国内で得た所得と損益通算することで、所得税を節税する方法などが考えられますが、すべての人にあてはまる方法ではありません。
そのため、節税目的で海外不動産投資をすることは、あまりおすすめはしませんが、方法によっては節税効果を得ることもできるため、自身の資産状況やリスクヘッジの方針などをふまえて、検討を進めていくことが大切です。

海外不動産のワンルームに投資するときのおすすめエリア3選
海外不動産投資において、投資先のエリア選びが重要である点は先述の通りですが、闇雲に調べても、自分に適したエリアを見つけることは難しいと言えます。
これから海外のワンルーム物件への不動産投資を検討している場合、ワンルームの運用を想定した判断基準を持って、各エリアを比較検証する方法をとると、スムーズにワンルーム投資に適したエリアを見つけることができます。
ここからは、海外のワンルーム物件への不動産投資を想定して、どのようなエリアがワンルーム投資に向いているかを、3つの特徴から解説していきますので、参考にしてください。
会社や工場の近く
会社や工場に近いエリアは、それらに勤務する単身者からの需要が高いため、ワンルーム投資にはおすすめのエリアです。
有名な例として、GoogleやApple、Metaなどの大手IT企業のオフィスがある米シリコンバレーがあげられます。
シリコンバレーの住宅価格が、上記の大手IT企業の業績に連動していると言われるのも、多くの従業員が近隣に住宅を構えていることが大きく関係しているためです。
加えて、工場の近隣エリアでは、従業員として雇用されている外国人労働者向けワンルーム物件の需要が高いという点も、エリア選定の検討材料とするとよいでしょう。
ただし、会社や工場に近いエリアを選ぶ際は、ビジネス街や工場地帯など、複数の事業所がまとまっているエリアを選ぶようにしましょう。
これは、オフィスや工場の移転があると、近隣に暮らしていた従業員も大きく移動することから、一つの事業所頼みによる不動産運用では、移転による空室リスクが高くなるためです。
開発が進む都市部
海外不動産投資におけるエリア選定の際、開発途上にあるエリアのチェックは不可欠です。
近年では、新興国における首都移転計画も投資家からの注目を集めていますが、このような開発が進む都市部の物件は、需要の高止まりが継続する可能性が高いため、投資先として狙い目のエリアです。
都市開発は、様々な最新技術が活用された都市計画のもとで進められるため、物件単体の設備や品質が良いことはもちろん、ビジネスとプライベートの双方において高い利便性があり、尚且つ、高い安全性とゆとりを感じられるような街づくりとなっています。
そのようなエリアは、高齢者にとっても住みやすいことから需要が高いため、ワンルーム投資においても、入居者のターゲットを若年層だけでなく、高齢者まで拡大することができます。
幅広い層からの需要が高い物件であるほど、運用時の空室リスクを最小化できるだけでなく、売却時のキャピタルゲインも期待できることから、開発エリアでのワンルーム投資はおすすめです。
都市部へのアクセスが良好な郊外
都市部への公共交通機関でのアクセスが良い郊外エリアは、ワンルームの入居者となるターゲット層に人気が高いエリアであるため、エリア選定の際には忘れずチェックしましょう。
公共交通機関の利便性が高い郊外をおすすめする理由としては、まず、都市部への通勤・通学に便利であることがあげられます。次に、郊外エリアであれば、都市部に比べて家賃価格が下がることがあげられます。
これらの理由はいずれにおいても、若年単身者層が住居選びの基準とする「家賃はできるだけ抑えたい」「通勤・通学がしやすいエリアがいい」という代表的なニーズをカバーすることができるという点にあります。
そのため、都市部へのアクセスが良好な郊外エリアは、若年単身者向けのワンルームの運用に向いているエリアと言えるでしょう。

海外不動産のワンルームへの投資で成功するポイント3つ
海外のワンルーム物件への不動産投資は、様々なメリットがある一方で、注意しなければならないデメリットも存在しているため、投資に成功するためには、いくつかのポイントをおさえておく必要があります。
ここからは、ワンルームでの海外不動産投資で成功するうえで重要な3つのポイントについて解説していきますので、物件選びの際の参考にしてください。
企業進出や都市開発の進む国を選ぶ
海外のワンルーム投資では、都市開発が進行中のエリアや、国内外大手企業のオフィス移転や建築が進むエリアを選択しましょう。
先述の通り、ワンルームの入居者ターゲット層のボリュームゾーンは、20代〜30代の若年単身者層です。
当該層の需要をカバーするためには、ビジネスにおける利便性の高いエリアであることが重要なポイントとなります。
加えて、ビジネスエリアと生活空間が融合した、ハイブリットな街づくりが各国で進んでいるというトレンドを考慮すると、当該エリアでのワンルーム物件は、高齢者のニーズにも応えられるでしょう。
これまで、オフィスや住居、病院や商業施設などは、スタンドアローン型での不動産開発が主流とされており、オフィス街と住宅街は明確に区分けされる都市開発が一般的でした。
しかし昨今では、それらが一体化した複合型施設の建設や多機能型都市開発が各国で盛んに進められています。
このような都市開発のトレンドは、生活利便性の高さを必要とする高齢者にも適した住環境をも生み出しているのです。
ワンルーム需要の高いエリアを選ぶ
海外不動産投資では、投資する不動産タイプの需要が高いエリアを選択することが、高い投資成果をあげるうえでの基本的なポイントです。
ワンルームへの入居者層の大半は会社員が占めることから、オフィス街へのアクセスが良好なエリアでワンルームの需要が高まります。
エリア選定では、ターゲット層の生活動線を想定したうえで、各エリアを比較検討することをおすすめします。
また、将来的に需要が高まるエリアのワンルーム物件へ先行して投資するという方法も、検討してみても良いでしょう。
おすすめエリアとしても解説したように、これから多くのオフィスや工場の建築が予定されていたり、最寄駅への乗り入れ路線が増えるなどの公共交通機関の利便性が高まる予定があるエリアは、今後ワンルーム需要が高まることが予想されるエリアです。
購入から間もなく需要が高まり、満室御礼が続く状態となれば、少ない投資で大きなリターンを得ることが期待できます。
しかし、予測値をもとに海外不動産への投資判断を下すにあたっては、相応のリスクが生まれるということも忘れてはいけません。
先読みによる海外不動産投資を行うのであれば、リターンとリスクのバランスをよく考えたうえで進めるようにしましょう。
売却時の価格も想定しておく
海外不動産を購入する際、多くの人が購入価格に注目しがちですが、投資成果を高めるためには、売却価格も視野に入れて、物件を選定することが重要なポイントです。
購入価格が安くても、ワンルームの需要が低いエリアであったり、今後需要が減っていくことが予想されるエリアであれば、売却価格が購入価格を下回ることになり、損失を生む結果となってしまいます。
その反面、これからワンルームへの需要の高まりが期待できるエリアの物件や、中長期的に安定した家賃収入が見込めるエリアの物件であれば、購入価格が多少高くても、売却時に同等額、もしくはそれ以上の額で売却することができるでしょう。
もちろん、投資物件の保有期間や売却タイミングによって、最終的な投資成果がプラスとなるかマイナスとなるかは変わってきます。
そのため、自身の投資計画や目的と照らし合わせながら、売却時にどのくらいのリターンが望めるかを軸に、物件選定を進めることをおすすめします。

まとめ
今回は、海外不動産投資において、ワンルーム物件を選択するメリットやデメリットに加え、ワンルーム投資に適したエリアやワンルーム投資を成功させるポイントについて解説してきました。
コロナ禍を経て、各国の経済活動も息を吹き返し、人・モノ・サービスのグローバルな往来が活況を呈してきています。
そのような社会情勢を背景に、経済発展著しい新興国では、ワンルームへの不動産投資が盛んに行われています。
今後、海外不動産投資でワンルームを検討中の方は、以下のポイントを参考に検討を進めてみてください。
- 海外のワンルーム投資における入居者のメインターゲット層は、若年単身者層と高齢者
- ワンルーム需要の高いエリアの特徴は、ビジネスと生活の双方において利便性の高いエリア
- エリア選定のポイントは、企業や工場の進出と都市開発
- 投資成果を高めるためのポイントは、空室リスクの最小化と売却時までの物件価値の維持(または上昇)
