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海外不動産投資は短期譲渡所得税に注意!計算方法や長期譲渡と得するケースの比較

海外不動産投資は短期譲渡所得税に注意!計算方法や長期譲渡と得するケースの比較

海外不動産を売却した際に譲渡所得税(キャピタルゲイン税)が課税されます。
その際に短期譲渡所得税が課税されると、投資効果に大きく影響を及ぼすことをご存知でしょうか?

実は、海外不動産投資の売却益を最大化させるためには、短期譲渡所得税による税率が重要になるのです。
この短期譲渡所得税の影響を知らなければ、海外不動産投資を行っても満足な結果を得られない可能性が高まります。

そこで今回は、海外不動産投資における短期譲渡所得税の注意点と、節税のためのポイントについてご説明します。
この記事を読み終えるころには、短期譲渡所得税の税額を考慮した海外不動産投資戦略を自信を持って構築することができるようになっているでしょう。

目次

譲渡所得税とは?

ここでは不動産を売却した際に課税される、譲渡所得税とは何かについてご説明します。
また譲渡所得税を理解する上でポイントになる、短期譲渡所得と長期譲渡所得についても解説します。

譲渡所得税は不動産の売却利益に課税される税金

不動産を売却(譲渡)して売却益(譲渡所得)が発生すると、売却益に対して税金が課税されます。
これを譲渡所得税と言います。
そのため売却益が発生しなければ、譲渡所得税は課税されません。 

譲渡所得税という名前は、売却益に課税される所得税と住民税の2つの税金を合わせた総称です。
なお個人に課税される譲渡所得税に関しては、所得税と住民税の2つの税金に追加して、2037年までは所得税の税額に2.1%を乗じた金額を復興特別所得税として課税されます。

不動産の売却益(譲渡所得)に課税される譲渡所得税は、給与から源泉徴収される所得税などとは分けて(分離して)課税されます。
そのため不動産の売却益に課税される譲渡所得税は、申告分離課税に該当します。
よって給与所得や事業所得などとは分けて税額計算をおこない、確定申告によって不動産の売却益を申告して納税する必要があります。

短期譲渡所得と長期譲渡所得がある

譲渡所得税は、所有期間によって長期譲渡所得短期譲渡所得の2つに区分し、異なる税率を用いて別々に税金計算を行います。

所有期間とは、不動産を取得した日から引き続き所有していた期間をいいます。

短期譲渡所得とは、不動産を売却した年の1月1日時点において、所有期間が5年以下のものをいいます。
一方、長期譲渡所得とは、売却した年の1月1日時点において、所有期間が5年を超えるものをいいます。

短期譲渡所得売却した年の1月1日時点において、所有期間が5年以下のもの
長期譲渡所得売却した年の1月1日時点において、所有期間が5年を超えるもの

売却した時点で所有期間が5年かどうかではなく、売却した年の1月1日時点ということに注意してください。

例えば、2012年1月10日に購入した不動産を、2017年1月31日に売却したとしても長期譲渡所得にはなりません。
なぜなら売却した年である2017年の1月1日時点では、所有期間が5年以内となるので短期譲渡所得に該当するからです。

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海外不動産投資は譲渡所得が出やすい理由

海外不動産投資が譲渡所得を得やすい理由は2つあります。

1つ目は、日本国内の不動産価格と違い、海外不動産では値上がりすることが一般的であるということ。
2つ目は、人口減少の続く日本とは違い、海外では新興国はもちろんのことアメリカなどの先進国でも人口増加が続いていることです。

海外不動産は値上がりが一般的

海外不動産は国内不動産と比べて、一般的には値上がりがしやすいとされています。

日本と違い、経済成長を続けている

日本国内の不動産と違い、海外不動産が値上がりを続ける大きな理由は、海外不動産投資の対象となる国々は、日本と違って経済成長を続けているからです。

新興国では、経済成長や人口増加によって住宅需要が増加し、不動産価格が上昇することは想像しやすいかと思います。
ですが、新興国だけでなくアメリカなどの先進国でも、移民を積極的に受け入れることによって人口増加、経済成長が続いており、不動産価格は上昇し続けています。

また東南アジアの新興国や、日本以外の先進国では、新しい産業がどんどん生まれ、日本と違って給与水準も上昇し続けています。
物価や税金は上がるのに給与は上昇しない日本とは、経済情勢が大きく異なるのです。

海外は住宅の売買が盛んに行われる

経済的な事情に加えて、土地に対する意識の違いも不動産価格に影響しています。

なじんだ土地からあまり引っ越したくないという日本人の気質とちがって、海外の人々は土地に対する執着心が薄い人が多く、ライフスタイルの変化に合わせてわりと頻繁に引っ越します。
海に囲まれた日本では、日本国外へ引っ越すということは一大事ですが、他国と陸続きなヨーロッパなどでは、他国へ引っ越すということはよくある光景です。
そのため住宅の売買が盛んで、日本と比べて中古住宅市場も流通量が豊富です。

土地が安く建物寿命が長い

海外は土地が広くて安く購入できるので、その分、建物や設備にお金をかけることができます。
よって海外の不動産は日本と違ってしっかりお金をかけて建築し、定期的に設備投資や大規模修繕を行うので、建物価値がほとんど減少しません。
スクラップアンドビルドが基本で新築志向が強く、買った途端に2割近く価格が下がる日本の不動産とは不動産に対する価値観が全く違います。

そのためアメリカやヨーロッパなどでは築80年、築100年という物件がたくさん流通しています
エリアの選定をしっかり行えば、築古の中古物件であっても売却益を狙えることが少なくありません。

日本以外は人口が増えている

世界的に見ても、日本は少子高齢化にともなう人口減少がものすごい勢いで進んでいる国ですが、同じ先進国のアメリカでは人口が増加し続けています。
アメリカは移民の受け入れに積極的で、ヒスパニック系を中心に移民の人口が増加し続けているからです。
エリア的には、テキサス州、カリフォルニア州、フロリダ州などの移民流入が目立っています。

またフィリピンやインドネシアなどの東南アジアの国々では爆発的に人口が増加しており、住宅の需要に対して供給がまったく追いついておらず、不動産価格が上昇し続けています。
東南アジアの国々の人口増加は今後も続くので、それにともなって不動産価格も上昇し続けると予想されます。

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不動産売却益が発生すると譲渡所得税がかかる

不動産投資の効果を最大化させるためには、譲渡所得税の税率と所有期間の関係を理解しておく必要があります。
なぜなら、譲渡所得税は短期譲渡所得税か長期譲渡所得税のどちらに該当するのかで、税率が大きく異なり、税引き後の利益に著しく影響するからです。

税率は所有期間によって異なる

不動産売却にともなう譲渡所得税は、所有期間が5年以内の短期譲渡所得税か5年超の長期譲渡所得税かによって、税率が約2倍も異なります。
そのため不動産投資の効果を高める際に、所有期間による譲渡所得税の税率の変化を考慮して売却戦略を組み立てることが必須となります。

短期譲渡所得税と長期譲渡所得税の税率の違いは、以下のとおりです。

譲渡所得所得税住民税譲渡所得税
短期譲渡所得30%9%39%
長期譲渡所得15%5%20%

相続した不動産の所有期間は?

相続や贈与によって取得した不動産の所有期間は、原則として被相続人や贈与者が取得した日を起算日として所有期間を計算することになっています。
つまり被相続人や贈与者が所有していた期間も合算した上で、所有期間が5年を超えるかどうかを判断するということです。

また海外不動産を相続や贈与によって取得した場合、海外現地と日本の両方で相続税や贈与税が課税されることに注意してください。
海外現地での相続や贈与に関する税制は日本と異なるので、現地の税理士を通じて詳細を確認する必要があります。

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譲渡所得税の計算方法

譲渡所得税は、以下の計算式で税額を求めることができます。

【譲渡所得税の計算方法】

譲渡所得税の税額 = 売却益 × 税率

譲渡所得税は、売却益が生じた場合にのみ課税される税金で、売却益がマイナス(売却損)の場合は非課税です。
税率については、所有期間に応じて短期譲渡所得税か長期譲渡所得税の税率を乗じることになります。
つまり、譲渡所得税の税額を計算するためには、売却益の計算が必要になるということです。

ですが売却益の計算には注意点があります。
それは、売却益とは「不動産の売却価格そのもの」であったり、「不動産の売却価格 - 不動産の購入価格」という単純な引き算だったりするのではないということです。

売却益を計算する

では譲渡所得税の税額計算のために必要となる売却益は、どのように計算するのでしょうか。
売却益は、以下の計算式に当てはめて金額を算出します。

【売却益の計算方法】

売却益 = 不動産の売却価額 - 取得費 - 譲渡費用

つまり売却益を求めるためには、取得費と譲渡費用の金額を確定させる必要があるということです。

取得費には以下のものが含まれます。

取得費に含まれる費用
  • 土地の購入額
  • 建物の購入額から減価償却費を控除した価格
  • 建物の建築代金
  • 購入時に支払った税金(登録免許税、不動産取得税、印紙税など)
  • 不動産会社へ支払った仲介手数料
  • 測量費
  • 整地費・建物の取り壊し費用など
  • 設備費
  • 改良費
  • 一定の借入金利子

一方、譲渡費用には以下のものが含まれます。

譲渡費に含まれる費用
  • 不動産会社へ支払う仲介手数料
  • 売主負担の印紙税
  • 売却するために借家人に家屋を明け渡してもらうために支払った立退料
  • 更地売却のために建物解体費用

なお不動産の保有期間中に生じた、修繕費や固定資産税などは取得費や譲渡費用に該当しません。
なぜなら取得費や譲渡費用は、不動産の購入時と売却時にそれぞれ直接かかわった費用が該当するからです。

上記の取得費・譲渡費用に該当するものの中で、売却益の計算でポイントとなるものがあります。
それは、取得費に含まれる「建物の購入額から減価償却費を控除した価格」です。

なぜなら減価償却費は、計算方法が複雑だからです。
というのも、不動産の減価償却費は定額法を用いて計算するのですが、その定額法の計算方法についても、売却する不動産が自宅用か投資用かで計算式が異なるのです。

税法上、土地は経年劣化しないと考えるので、減価償却の対象となるのは建物部分のみです。
つまり、取得費を計算式で書くと、以下のように表すことができます。

【取得費の計算方法】

取得費 = 土地購入価額 + (建物購入価額 - 減価償却費) + その他の合計費用

定額法を用いた投資物件の減価償却費の計算式は、以下のとおりです。

【定額法を用いた投資物件の減価償却費の計算式】

減価償却費 = 建物購入価額 × 償却率 × 業務に供された月数 ÷ 12

定額法での償却率計算式
償却率 = 1 ÷ 耐用年数

耐用年数とは、減価償却資産が利用に耐える会計上の年数のことです。
新築物件の場合、耐用年数は満額残っているので、法定耐用年数をそのまま耐用年数の部分に当てはめて計算します。
例えば投資用物件の木造の場合、耐用年数は22年です。

よって新築の木造投資物件の償却率は、0.046(≒1÷22年)となります。

建物構造と用途による法定耐用年数の違いは、以下のとおりです。

建物構造自宅用の耐用年数投資用の耐用年数
木造22年33年
木造モルタル20年30年
鉄骨造3mm以下19年28年
3mm超~4mm以下27年40年
4mm超34年51年
鉄筋・鉄骨鉄筋コンクリート造47年70年

一方で中古投資物件の場合、建物部分は経年劣化により価値が減少しています。
そのため中古投資物件の償却率は、売却時の残存耐用年数を計算してから求めることとなります。

中古投資物件の償却率 = 1 ÷ 残存耐用年数

残存耐用年数とは、投資用の中古物件にあとどのくらい耐用年数が残っているのかを表した数値です。
残存耐用年数の計算方法は、中古物件の築年数が法定耐用年数を満了しているか満了していないかで異なります。

残存耐用年数の計算方法は、以下のとおりです。

建物の築年数計算式
築年数が法定耐用年数を満了している法定耐用年数×0.2
築年数が法定耐用年数を満了していない法定耐用年数-経過年数+経過年数×0.2

売却益シミュレーション

ここで、投資用にドバイで購入した中古コンドミニアムの売却益を計算するシミュレーションをしてみましょう。

【シミュレーション条件】
住宅の種類:マンション(鉄筋コンクリート造:法定耐用年数は47年)
購入時の築年数:築10年
売却価額:17,000万円
譲渡費用:800万円
購入価額:13,000万円
内訳 土地購入価額:3,000万円
   建物購入価額:10,000万円
購入時諸費用:700万円
業務に供された月数:60ヶ月

【シミュレーション
最初に残耐用年数を求めます。
残存耐用年数 = 法定耐用年数 - 経過年数 + 経過年数 × 0.2
       = 47年 - 10年 + 10年 × 0.2
       = 47年 - 10年 + 2年
       = 39年

次に求めた残存耐用年数から、償却率を計算します。
中古投資物件の償却率 = 1 ÷ 残存耐用年数
           = 1 ÷ 39年
           ≒ 0.026

償却率が計算できたので、減価償却費を求めます。
減価償却費 = 建物購入価額 × 償却率 × 業務に供された月数 ÷ 12
      = 10,000万円 × 0.026 × 60ヶ月 ÷ 12
      = 1,300万円

取得費は以下のように求められます。
取得費 = 土地購入価額 + (建物購入価額 - 減価償却費) +その他の購入時諸費用
    = 3,000万円 + (10,000万円 - 1300万円) + 700万円
    = 3,000万円 + 11,700万円 + 700万円
    = 15,400万円

(※参考サイト

よって売却益は以下のようになります。
売却益 = 売却価格 - 取得費 - 譲渡費用
     = 17,000万円 - 15,400万円 - 800万円
     = 800万円

売却益に税率を乗じる

さきほどもご説明したとおり、譲渡所得税は売却益に税率を乗じて計算します。

【譲渡所得税の計算方法】

譲渡所得税の税額 = 売却益 × 税率

不動産の売却益に課税される所得税は申告分離課税です。
そのため不動産を売却して売却益を生じたら、翌年の2月15日から3月15日の期間に確定申告をして納税する必要があります。

なお、所得税を確定申告したら、住民税の税額は自動的に計算されます。
売却した翌年の5月ごろ、自宅に納税通知書が届きます。

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短期譲渡所得と長期譲渡所得の税率の違い

不動産の売却益に課税される譲渡所得税の税率は、所有期間が5年を超えるか5年以内かで税率が大きく変わります。

この所有期間の長さによる税率の変化は、国内の不動産売却による売却益同様、日本国内に居住する投資家が行った海外不動産投資の売却益に対しても、同じように課税されます。
そのため短期譲渡所得と長期譲渡所得による税率の違いは、海外不動産投資における投資戦略にも大きく影響します。

5年超の所有で長期譲渡所得

海外不動産を購入してから、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超える場合、長期譲渡所得に該当するので譲渡所得税の税率は20%となります(所得税15%、住民税5%)。

海外不動産投資の売却益に課税される譲渡所得税を税額計算する際には、用いる為替レートに注意が必要です。
売却益に課税される譲渡所得税の税額計算の場合、計算に用いる為替レートは以下の時点での為替レートを用いるからです。

  • 不動産を取得した日の為替レート
  • 不動産を売却した日の為替レート
  • 購入時や売却時にかかった諸費用の計算では各諸費用が発生した日の為替レート

家賃収入の所得に課税される所得税のように、期間中の為替レートの平均値を税額計算に使用するわけではないので注意してください。

5年以下の所有で短期譲渡所得

一方、所有期間が売却した年の1月1日時点で5年以下の場合、譲渡所得税の税率は39%と高くなります(所得税30%、住民税9%)。
所有期間が5年を超えれば税率は20%です(所得税15%、住民税5%)。

所有期間が5年を超えるか5年以内なのかだけで、これほど税率に差が生じます。
よって売却によるキャピタルゲインを狙う海外不動産投資では、基本的に所有期間は5年超になることを前提に投資戦略を組み立てるのが基本となります。
この点に関しては、のちほど詳しく解説します。

短期譲渡所得の税率が高い理由

では、なぜ所有期間が5年以内と短くなるだけで、譲渡所得税の税率が2倍近くも高くなるのでしょうか。
それはバブル期に横行した土地転がしが原因です。
土地転がしによって、不動産価格が暴騰しました。

そのため土地転がしを防止する観点から、このような税制が制定されました。
バブル期が終わってもなお、この税制度だけが残り続けているのです。

土地転がしとは

土地転がしとは、例えば幹線道路や鉄道の新線が開発される、新駅や大型商業施設が開業予定など、何らかの事情によって将来的に地価が値上がりしそうな土地を見つけて、地価が上昇して含み益を抱えたら転売して売却益を得る行為のことです。
つまり土地転がしとは、土地投機の一種だとも言えます。

土地転がしがネガティブなイメージを持たれるようになった背景

値上がりが見込まれる土地を買い占め、転売を繰り返して暴利を得る。
こんなネガティブなイメージを抱かれる土地転がしですが、その背景にはバブル経済期に行われた土地転がしによる利益の脱税・汚職が社会問題化したからです。 バブル経済とは、土地や株式などの資産価値が暴騰し続ける経済状態のことです。

なぜバブル経済と呼ばれるのかというと、土地や株式などの資産価値が暴騰し続ける様子が、泡が次々と生まれて膨らみ続ける状態と似ているからです。
そのため、資産価値の暴騰が反転急落してバブル経済が崩壊することを、「バブルがはじける」といいます。 日本のバブル経済期には多くの資産家や企業が活発に不動産投資を行い、わずか1週間程度で土地価格が2倍に跳ね上がるなどの異常な高騰が起きました。

買い占めた土地を、短期間に関係者の間で転売を繰り返して更に土地価格を釣り上げるというような悪質な行為も横行しました。
この土地転がしで得た莫大な利益に対して、脱税したり汚職に使われたりするということが起きて社会問題化したことから、土地転がしにネガティブなイメージを持たれるようになったのです。

日本でバブル経済が起きた理由とは

土地転がしが社会問題化した日本のバブル経済は、1980年代の後半から1990年代の前半にかけて起こりました。
事の発端は、1985年9月に行われた「プラザ合意」です。

当時、アメリカはドル高の影響による貿易赤字が拡大を続けており、貿易赤字解消のためにドル安へ誘導したいと考えていました。
そこでアメリカは、日本・イギリス・フランス・ドイツに呼びかけ、アメリカを含めた先進5ヶ国で協力してドル高を是正することに合意しました。

この時の会議がニューヨークのプラザホテルで行われたことから、のちに「プラザ合意」と呼ばれるようになります。 プラザ合意によるドル高是正は日本政府や日銀が想定した以上のスピードで進み、それまで円安で輸出産業を中心に好調だった日本経済は、一気に円高不況に直面することとなりました。

そこで日銀は公定歩合を引き下げて景気回復を図ります。
公定歩合とは、日銀が民間の金融機関に資金を貸し出す際の基準金利のことです。
公定歩合の金利をいくらに設定するかによって、日本における金融政策の基本的なスタンスを示すことができます。 当時の日本では、銀行の貸出金利が公定歩合と連動していました。

そのため、公定歩合の引き下げによって銀行の貸出金利も下がり、結果として企業や個人が融資を受けやすい状況が生まれたのです。

銀行から資金を借り入れた企業や個人は、借りた資金で土地や株式への投資を積極的に行いました。
その結果、土地や不動産価格の異常な暴騰を招き、バブル経済が発生したのです。

土地転がしは違法なのか?

結論から言うと、土地転がし自体は違法ではありません。

さきほどご説明したバブル経済期の土地転がしのネガティブなイメージから、土地転がしは違法行為だと思われがちです。
ですが、不動産取引において法的に問題のない売買契約が取り交わされ、得られた売却益に課税される譲渡所得税を納税していれば、違法ではありません。

つまり法的に問題のない売買行為だということです。 ただし宅地建物取引業の免許を持たない個人が土地転がしを行うと、場合によっては違法行為に該当する可能性があるので注意が必要です。
なぜなら宅地建物取引業法では「個人が宅地建物取引を反復継続することは違法」としており、宅建業法の免許を持たない個人が土地転がしを行うと、この規定に抵触して違法性を問われる可能性があるからです。 違法性を問われるかどうかの判断で問題となるのが、この反復継続に該当する明確な基準というものが設けられていないことです。

下記は、あくまで一般論としての目安であることをご理解ください。
不動産の売却によって利益を得る行為は、事業性のある行為と見なされます。
その事業性のある行為を、個人が1年に1回以上の頻度で行うと反復継続と見なされる可能性が高くなります。
ですがこの一般論をもとにして、個人が勝手に宅建業法の反復継続に該当しないと判断するのは非常に危険です。
なぜなら反復継続に該当するかの判断は、監督官庁である国土交通省と都道府県が行うからです。
もし違法だと判断された場合、警察によって検挙されることとなります。 よって合法的に土地転がしを行うためには、宅建業の免許を取得することが必要になります。

宅建業者として登録するには、従業員5名につき専任の宅地建物取引士を1名おくことが条件となります。
そのため、ご自身で宅地建物取引士の資格を取得するか、資格保持者を雇用する必要があります。

海外でも譲渡所得が課税されることがある

日本に居住する投資家が海外不動産を売却したら、日本国内で売却益に譲渡所得税が課税されるだけでなく、海外現地においてもキャピタルゲイン税が課税されるケースがあります。

海外現地で課税されるキャピタルゲイン税も、日本の譲渡所得税同様に所有期間によって税率が異なる税制度を設けている国もあります。
ここでは海外現地で課税される短期譲渡所得税の税率と、日本と海外の両方で課税される二重課税への対策についてご説明します。

アメリカの短期譲渡所得は1年

海外でも国によっては、日本の譲渡所得税のように短期譲渡所得、長期譲渡所得の仕組みが設けられています。
このような税制度を設けている理由は日本と同じで、短期転売による不動産価格の暴騰を抑制するためです。

ただ海外不動産投資においては、日本の譲渡所得税のように所有期間を気にする必要が無いケースが多いです。
なぜなら、海外の短期譲渡所得の判定基準は、日本の5年以内という基準よりも短い場合が多いからです。

例えばアメリカの場合、短期譲渡所得と長期譲渡所得の判定基準は所有期間が1年超かどうかになります。
所有期間が1年を超えると長期譲渡所得に切り替わり、その際のキャピタルゲイン税の税率は20%ほどになります。
よって日本の税制に合わせて5年を超えてから売却すれば、アメリカの税制においては既に長期譲渡所得に切り替わっているのです。

一般的に海外の不動産売却益に課税されるキャピタルゲイン税の所有期間の判定基準は、日本の判定基準よりも短い傾向にあります。

外国税額控除で相殺して二重課税を防ぐ

海外現地で日本の譲渡所得税に当たるキャピタルゲイン税が課税される場合、日本と海外現地の二重課税状態になります。

ですが日本と租税条約を締結している国に不動産投資をするのであれば、二重課税について心配する必要はありません。
なぜなら外国税額控除を利用して、二重課税を回避することができるからです。
ただし外国税額控除を利用できるのは、アメリカやオランダ、シンガポールなど日本と租税条約を締結している国に限られます。

租税条約を締結していないミャンマーやラオスなどに不動産投資をする場合は、外国税額控除を利用できないので注意が必要です。

外国税額控除を使った場合の計算例

例えば、アメリカで不動産投資をおこなってキャピタルゲイン税を1,500万円納めたとします。
日本の譲渡所得税の税額が2,000万円だった場合、外国税額控除を利用することで日本での納税額は差額の500万円だけに減額されます。

このように日本が租税条約を締結している国で不動産投資を行えば、外国税額控除を利用して二重課税を回避することができるのです。

海外不動産投資で節税するためのポイント

海外不動産投資における節税ポイントは、主に2つあります。

1つ目は、所有期間を5年超にして長期譲渡所得に切り替えてから売却すること。
2つ目は、法人による損益通算です。

海外不動産は5年超保有してから売却する

海外不動産投資はインカムゲインだけでなく、キャピタルゲインが狙える投資であることがメリットですが、売却時に39%もの高額な短期譲渡所得税を課税されてしまうと、投資効果が薄くなってしまいます

為替レートの変動次第では、売却益がさらに減額するリスクもあります。
よって海外不動産投資を行う場合、基本的には所有期間を5年超にして長期譲渡所得の税率に切り替えて節税する戦略を取ることになります。

日本での不動産投資とは異なり、海外不動産投資は投資対象国がアメリカなどの先進国であっても、東南アジアなどの新興国であっても売却益を狙うことができます。
そのため売却益に課税される譲渡所得税の税額を節税することは、売却益の最大化に大きく寄与することとなります。

法人名義で海外不動産へ投資して他の所得と損益通算する

2020年の税制改正によって、アメリカの木造住宅を活用した損益通算による節税スキームを、個人が用いることはできなくなりました。
ですが法人の場合、海外不動産投資による減価償却費を本業の利益にぶつけて損益通算し、課税の繰り延べをすることが可能です。

例えば、建物比率80%のアメリカの中古木造住宅を1億円で購入したとします。
この場合、不動産価格を土地と建物に分けると、建物価格は8,000万円です。
アメリカの中古木造住宅は、築50年〜100年近い物件が多数存在し、日本の法定耐用年数である22年を上回る築年数の物件に投資することができます。
この場合、建物部分を4年で減価償却することができるので、4年間は毎年2,000万円分、損益通算によって利益を繰り延べることができます。

法人税の税率は30%のため、毎年の利益が6,000万円ほどある会社は、損益通算によって利益を4,000万円まで圧縮することができ、毎年の法人税額を1,800万円から1,200万円にまで引き下げることができます。
これにより年間600万円の法人税を繰り延べることができ、4年総額で2,400万円の法人税の繰り延べが可能になります。

さらに毎年繰り延べた600万円を年利5%で運用すれば、4年間にわたって運用益を得ることも可能です。
さらにアメリカの不動産の場合、エリアによっては築古の中古住宅であっても売却益を狙うことが十分に可能なので、日本の法定耐用年数を超えた木造住宅に投資して課税の繰り延べと運用益を確保しながら、売却時にキャピタルゲインを狙うこともできます。

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短期譲渡と長期譲渡はどちらがおすすめ?

不動産売却による譲渡所得税に関する解説を見渡すと、売却益を最大化させるためには高い節税効果を期待できる長期譲渡所得への切り替えを待ってから売却をすすめるケースが多く見受けられます。
ですが全ての不動産売却のケースで長期譲渡所得が得をするのかというと、そうでないケースもあります。

ここでは短期譲渡所得が得をするケースと、長期譲渡所得が得をするケースに分けてご説明します。

短期譲渡所得が得をするケース

不動産売却では、短期譲渡所得の39%の税率から、節税効果の高まる長期譲渡所得の20%の税率に切り替わるのを待って売却することが重要視されます。
たしかに節税という側面だけで見れば、税率が大きく下がる長期譲渡所得への切り替え後に売却した方が良いのは間違いありません。

ですが売却益を最大化させるという観点で見れば、長期譲渡所得に切り替わるのを待つべきかどうかは、売却する不動産の築年数によって判断が異なります。
なぜなら築年数が浅い物件を売却する場合、5年後の長期譲渡所得を待つよりも早期に売却してしまった方が非常に高値で売却できて、かなり大きなキャピタルゲインを確保できるようなケースもあるからです。
この場合、早期売却による非常に大きなキャピタルゲインが、短期譲渡所得による高税率のデメリットを打ち消してしまいます。

不動産は築年数が浅いほど、付帯設備を含めた建物の残存価値が残っており、売却価格が高くなります。
よって築年数が浅くて長期譲渡所得に切り替わる5年後よりも非常に高値で売却できるケースでは、早期に売却した方が利益を最大化できる場合もあるのです。

また売却する海外不動産が投資物件ではなく、マイホームとして使用していた物件であった場合、適用要件を満たしていれば「マイホームを売却した場合の3,000万円特別控除の特例」を利用することもできます。
この特例が利用できると売却益を3,000万円控除することができるので、売却益が大きく減額されて短期譲渡所得税の税率の高さのデメリットを考慮する必要がなくなります。

よって築年数が浅い物件の場合、5年後の売却よりも早期売却のほうが非常に高値で売却できるケースでは、早期売却して利益を最大化させるほうが得策だと考えられます。

長期譲渡所得が得をするケース

一方で、長期譲渡所得の切り替えを待って節税した方が利益を最大化させられるというケースは、5年後のキャピタルゲインがそこまで大きくはない、もしくは売却しても価格がそれほど下がらない場合です。
なぜならこのケースでは、早期売却をしても売却益が得られない、もしくは得られた売却益が小さくて長期譲渡所得税の節税効果のメリットを打ち消すことができないからです。

築年数が経過すればするほど、不動産価格の下落は緩やかになり、やがて横這いに至ります。
海外不動産投資においては築古の物件に投資する機会も多く、この場合、早期売却によって非常に大きなキャピタルゲインが得られるということはありません。

そのため、短期譲渡所得から長期譲渡所得に切り替わるのを待って、譲渡所得税の節税効果を発揮させる投資戦略が利益を最大化させるポイントとなります。

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海外不動産投資の短期譲渡所得についてよくある質問

ここでは海外不動産投資における短期譲渡所得に関するよくある質問について回答します。

非居住者が日本に所有する不動産を売却した場合、どこで課税される?

非居住者であっても、日本に所有する不動産を売却して得られた売却益に対しては、日本で所得税が課税されます
なぜなら、非居住者の所得のうち、日本国内で発生した所得(国内源泉所得)については日本の所得税が課税されるからです。

よって日本の税法が適用されるので、所有期間が5年以下であれば短期譲渡所得と税率で課税されることになります。

なお住民税については、売却した翌年の1月1日時点で日本国内に住民票があれば、管轄の自治体から課税されますが、そうでなければ課税されません。

海外不動産投資で申告漏れがありました。どう対応すればいいですか?

海外現地で確定申告をしていたので、日本での確定申告は必要ないと勘違いされる方が意外と多いです。

海外不動産投資で得られた所得は、海外現地だけでなく日本国内においても確定申告をする必要があります。
そのため一日も早く、自主的に修正申告又は期限後申告を行い、納税することが必要です。

海外不動産を時価評価した際の時価評価額が5,000万円を超えた場合は、国外財産調書への記載も必要になるので忘れずにおこなってください。
また海外現地が日本と租税条約を締結している国であれば、二重課税回避のための外国税額控除の適用も申請しましょう。

海外不動産の賃貸収入にかかる税金は確定申告が必要ですか?

海外不動産投資で得られる利益に課税される所得税は、売却益だけでなく家賃収入に対しても課税されます。

そのため、毎年必要になる海外現地での確定申告だけでなく、日本国内においても家賃収入の確定申告が毎年必要になります。

まとめ

今回は海外不動産投資における短期譲渡所得税の注意点と、節税のためのポイントをご説明しました。

所有期間が5年を超えるか超えないかだけで、課税される税金の金額が2倍も変わることは、海外不動産投資のパフォーマンスに大きく影響を及ぼすことを理解していただけたと思います。
日本国内での不動産投資とは違い、インカムゲインだけでなくキャピタルゲインも大きく狙えるのが海外不動産投資の魅力です。

ですがその恩恵を享受するためには、日本だけでなく海外現地でも課税されることと、二重課税の回避策を理解しておくことが重要になります。
不動産投資ではいくつか税金が課税されますが、その中でも譲渡所得税の税額はもっとも大きな金額になります。

そのため、海外不動産投資の利益を最大化させるためには、短期譲渡所得税の注意点を理解しておくことが必要不可欠です。
海外不動産投資を行う際は、短期譲渡所得税から長期譲渡所得税に切り替わるのを待ってから売却して、売却益を確保するのが基本戦略となることを理解しておいて下さい。

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この記事を書いた人

三井邦弘のアバター 三井邦弘 ブログ編集長

日本生まれの韓国人。本名は、HONG SUGYUN。関西大学卒業後、ソウルでガイド事業開始。2010年EC運営会社設立。2013年製菓製造販売業開始。2016年和食レストラン開始。2018年ウェブマーケティング会社設立。2019年Token NewsのKorea Managerを担う。現在、アジアとアフリカへ投資(企業、不動産、ETF)実行中。

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