国内不動産投資の経験があっても、海外不動産へ目を向けると体系的にまとまった情報が少なく、勉強しようにも何から始めればいいのかわからないという方も多いかも知れません。
海外不動産投資に取り組む人達は裕福層が中心で、コンサルタントなどを雇って行うケースが多く、一般的なノウハウなどがあまり公開されていない状況が背景にあると思います。
しかし、近年、少子高齢化から日本の経済の先行きに不安を感じる人達の間で、海外不動産投資への関心が広がっています。
今回の記事ではそのような方のために、海外不動産投資の勉強法やおススメ本・サイトの紹介を中心にお伝えしていきますので、是非、最後まで目を通して下さい。
海外不動産投資初心者に勉強が必要なこと
国内における不動産投資は国家資格を持った不動産業者と相談しながら、銀行の融資を受けるなどして行うのが一般的です。
しかし、海外不動産投資では、投資先の国の選定や投資エリア、その国の不動産に関する法律や商習慣など、事前に勉強しておくことが多くあります。
投資する国を選定するための勉強
海外不動産投資を成功させるためには、投資先国の選定がとても重要です。「どの地域、どの国の不動産に投資するのか」は、株式投資における銘柄を決めることと同じですので、慎重に検討しなければなりません。
海外不動産投資に大きな影響を与えるのが、投資先国の人口と経済成長の状態です。一般的に人口が増加している国は不動産価格も上昇し、逆に人口が減少している国は不動産価格も下落する傾向が見られます。
また、国の経済成長に伴って不動産価格も上昇するのが一般的です。日本においても、戦後の高度経済成長期から1990年代初頭のバブル期までの不動産価格の推移を見ると、そのことが明らかだとわかるでしょう。
このように人口増加と経済成長には密接な関係があるので、下記のようなポイントをしっかりおさえておくと、投資先国の未来を予測するのに役立ちます。
生産年齢人口 | 15歳以上65歳未満の生産活動の中心となる人口層で、これが上昇傾向の国においては継続的な経済成長が期待できる |
都市人口率 | 全人口における都市に居住する人口の割合で、この率に伸びしろがあり現在も継続的に伸びている発展途上国ほど都市部において不動産需要が期待できる |
国内不動産投資と海外不動産投資の違い
国内不動産の場合、不動産投資という言葉から浮かぶイメージは、「家賃収入」や「節税」といったものがメインになると思います。
しかし、海外不動産投資では「家賃収入」といったインカムゲインだけでなく、投資先国によっては「売却益」といったキャピタルゲインを狙うことも可能です。
そのイメージの違いは、日本におけるバブル崩壊後の経済成長の鈍化や、長く続いたデフレの影響により、今後の不動産価格の上昇に期待が持てなくなった背景があります。
前述の人口の面から判断しても、日本は生産年齢人口の減少が続いており、世界に先んじて少子高齢化社会に突入しています。都市人口率はすでに世界最高水準であり、今後は人口減による空室率の上昇によって「家賃収入」の面でも継続的な成果は期待薄です。
これに対して海外不動産投資では市場が全世界と広く、人口増加を背景に経済成長が続く国も多くあるので、投資先国しだいで高い成果を得られる可能性があるのです。
国内不動産投資と海外不動産投資の大きな違いは、まさにこのような「人口増減」と「経済情勢」のバックボーンの違いにあります。

押さえる必要がある海外不動産投資の基礎知識
ここでは海外不動産投資の勉強において、押さえておくべき基礎知識について解説します。国内不動産投資にはない要素ですので、しっかりとポイントを押さえておきましょう。
円安に強く円高に弱い
2022年2月のロシアのウクライナ侵攻により、世界経済は大きな混乱へ向かい、為替相場においても、一時は150円台という32年ぶりに高い円安水準まで到達しました。
為替相場の大きな変化による影響は業界によって悲喜こもごもですが、輸出関係の事業や外貨建て資産を持っている場合、円安の恩恵に大きな期待が持てます。
海外不動産投資では、物件の売買が外貨で行われ家賃収入も外貨で入るため、今回のように為替相場が大きく円安へ動くことは強い追い風となります。
円安に動くことは日本国内の資産価値が世界基準からみると低くなることを意味しますので、すべての資産を円で保有するよりも、海外不動産投資のように一部を外貨で保有する方が安全と言えるでしょう。
逆に円高へ為替相場が動くことは資産の目減りを意味しますので、物件の購入先国の経済情勢や売買タイミングについて勉強しておくことが重要です。
国や地域で分散投資ができる
先述の通り海外不動産投資は資産を外貨で持つという点で分散投資となり得ますが、投資先国や地域を選ぶことで、さらに分散効果を上げることが可能です。
例えば投資先国の選定は、先進国と発展途上国の2つに大別することができ、それぞれに下記のような特徴があります。
先進国 | 経済が安定していて不動産に関する法制度が整備されている |
発展途上国 | 人口増加にともなう継続的な経済成長が期待できる |
従って、先進国を選んで安定した家賃収入を得ることや、発展途上国を選んで売却益を得ることを目的として、資産を分散させることができます。
また、発展途上国では日本の物件価格の半値以下で購入できる場合もあるので、資金に余裕があれば複数の投資先国やエリアに投資することによって、さらに分散効果を強めることが可能です。
法人には節税効果がある
不動産投資の利点のひとつに、国内外の不動産を問わず減価償却費の計上による節税効果があり、裕福層の節税対策として用いられることが多くあります。
しかし、2019年の税制改革により2022年の確定申告から、海外不動産投資では減価償却費を費用計上できなくなりました。
「海外不動産投資による節税封じ込め」として話題になりましたが、封じ込められたのは個人のみであり、法人の場合は海外不動産の減価償却費の計上は可能です。
ただし、法人で減価償却費を計上した場合でも、売却時に物件購入額から費用計上した減価償却費が引かれるのです。つまり、最終的には計上した減価償却費へも課税されることになり、税金が繰り延べされただけになります。
しかし、売却物件より同額以上の物件に買い換えるスキームを利用すると、物件売却益に対する法人税を最長10年間繰延が可能になり、納税タイミングを調整することができます。
これにより明確な年度毎の事業計画に基づき海外不動産投資を行う法人であれば、利益を取るタイミングを計ることにより節税効果をあげることが可能でしょう。

国内不動産よりもハイリスク・ハイリターン
海外不動産投資では既述の通り、継続的な人口増加と経済成長が期待できる国において、成功できる見込みが高くなります。やり方次第では、インカムゲインとキャピタルゲインの両方を狙ってハイリタ―ンを得ることも可能でしょう。
しかし、リターンだけでなくリスクも視野にいれて、あらかじめ勉強しておく必要があります。海外不動産への投資は、国内ではあまり見られないリスクもあり、取引金額が大きいだけに後から知らなかったでは済まされないこともあるので下記事項に注意しましょう。
為替リスク
外貨で持つ資産として海外不動産は分散投資の有効な手段として説明しましたが、大きく円高へ振れた場合は逆にリスク要因になります。
そのため、為替変動の大きな国への投資は控え、売却したいときに円高であれば、相場が好ましい状態へ戻るまで待つ必要もあります。
自然災害、治安、物価高といったリスク
日本は地震の多い国ですが、海外にはハリケーンや竜巻、津波などの災害リスクを考慮しておくべき国があります。
また、安い物件に飛びつくと治安が悪かったり、政策次第で物価高へ移行してしまうこともあるかも知れません。
投資先が先進国だからといって安心は禁物で、こういったリスクを考慮して、慎重に購入地域を検討する必要があります。
竣工リスクと物件のクオリティの問題
発展途上国においては、プレビルドと呼ばれる建設途中の物件が安く買えるシステムが一般的です。しかし、ディベロッパーによっては工事が大幅に遅延したり、資金繰りの問題から建設途中で中止となるケースもあります。
また、海外不動産の建設現場では周辺諸国から出稼ぎ労働者も多く、経験値の乏しさから仕上がりのクオリティに問題が出ることもあります。
したがって、物件購入の際は安さを優先することは避け、できるだけ信頼のおける大手ディベロッパーや日系企業が参加しているプロジェクトを選ぶと安心です。
賃貸管理関連のリスク
賃貸管理を現地の業者に依頼した場合、オーナーが海外にいることで手を抜かれるリスクもあり注意が必要です。
現地の管理会社が空室になってもフォローしてくれないとか、管理人に連絡がとれないといった、日本では考えられないことも起こりますので、できるだけ日系の業者を利用するのがいいでしょう。

海外不動産投資について勉強する方法
この章では、海外不動産投資について必要な知識を具体的に勉強する方法を紹介しますので、実行に移せるものから取り組んで頂ければと思います。
不動産会社が主催するセミナーへ参加して勉強する
海外不動産投資に力を入れている不動産会社であればセミナーも積極的に行っているので、最初はそういった会社の初心者向けのセミナーを探して参加するといいでしょう。
セミナーでは不動産会社が手がける対象国の不動産市況や経済情勢、人口動態などの一般的な話だけでなく、実際に取り扱っている物件まで話が及ぶので参考にしない手はありません。
海外不動産を手がけた実績が豊富な会社が開催するセミナーで、対象国や利回りなど自分の目的に近いものを選んで参加し、信頼できる内容であればセミナー後もその会社を有効活用しましょう。
セミナーの後に相談会が準備されていることもあるので、より詳しい話を聞くために質問したり個別な事情を相談することで、海外不動産投資への知識が深まります。
現地の不動産会社に話を聞いて勉強する
投資先として検討している国で営業している日系の不動産会社があれば、メールなどを利用して現地の詳しい状況や条件などを聞いてみるのもひとつの方法です。
興味ある物件を申し出れば、画像や見積りなどを送ってもらえることもあり、時間と費用に余裕があれば実際に現地へ足を運んで視察することもいいでしょう。
その際は物件のみならず、まわりの環境や交通やショッピングの利便性もチェックし、空き室状況まで確認することで海外不動産投資で成功する確率が高まります。
海外不動産を取り扱う不動産会社へ相談する
国内物件を取り扱う不動産会社が必ずしも海外不動産に詳しいとは限りませんので、不動産会社へ相談する際も、必ず海外不動産の取扱いがある会社を選びます。
その際の基準として、現地にオフィスを持ちその地域のエージェントと親密な関係がある会社であれば、最新で的確な情報が取れるので安心です。
また、相談する不動産会社が海外不動産投資の有利な側面だけを語るのではなく、リスクについてもきっちり説明してくれるところであれば信頼をおいて相談できます。
まず日本の不動産投資を経験する
不動産投資は人生の中で長期間にわたって取り組むことになるので、一度も不動産投資をしたことがない場合は、まず日本において不動産投資を経験することも勉強方法として有効です。
インカムゲインを目的とする場合は、物件の選び方から居住者の募集、管理会社とのやり取り、物件の修理対応など、賃貸にからむ事項を一通り勉強することが可能です。
また、物件売却を一度行うことで、売買タイミングや不動産会社のリアルな対応を経験することができ、海外不動産投資において役に立つでしょう。
本を読んで勉強する
海外不動産投資に関する基本的な知識を体系的に身につけるには、本で勉強する方法が一番近道です。
不動産会社に相談するにしても、セミナーに参加するにしても、最低限知っておくべき基本的な知識がなければ、相手が説明する内容へ理解が追いつかないこともあるでしょう。
また、相手によっては足元をみられて、いいように利用されることも稀にあるので、自分を守る意味でも知識武装は必要です。
ただし、海外不動産投資は株式投資やFXのようにメジャーではないので書籍の数が少なく、書店でも多く陳列されているわけではありません。
自分にふさわしい本を探すには、Amazonといったネット販売で検索するのが効率的で時間の節約にもなります。

海外不動産投資の間違った勉強方法
海外不動産投資を始めるときに勉強方法を間違うと、時間がかかったり誤った方向へ進んで失敗することもあります。
ここでは、そういった事態に陥らないために、あらかじめ失敗事例を紹介しますので参考として下さい。
宅建士の資格の勉強をする
不動産投資と言えば、「宅建士」の資格があればいろいろ知識を使えて有利に違いない、と思う人が多いかも知れません。
しかし、資格を取るために必要な項目の中には、「国土利用計画法」「都市計画法」「農地法」といった不動産売買に直接関係しない内容も多く、費やす勉強時間が無駄になります。
それよりも、投資先国の選び方や、利益率の計算方法、物件のある国の不動産に関する法律などに目を向けた方が、海外不動産投資にとっては効率的で実利のある勉強となります。
匿名のブログやSNSを見て勉強する
現代はインターネット検索で何でも情報が手に入る時代ですが、匿名のブログやSNSを使って個人が発信している情報は、信頼性に乏しかったり営利目的であることもあります。
特に初心者の段階では何が正しい情報なのかを見分ける力に乏しく、間違った判断力を身につけてしまう可能性もあります。
もちろん専門家や経験豊富な実践者が発信しているサイトもありますが、自分で正しい情報の取捨選択ができるようになるまでは参考にしないほうがいいでしょう。
FPだけの意見を参考にする
FP(ファイナンシャルプランナー)はお金の専門家であって、不動産投資の専門家ではありませんので、FPだけを頼りにして学ぶことはおススメできません。
自分のライフプランに沿った資金繰りの面で意見を求めるのは有効ですが、海外不動産投資の中身まで踏み込んで相談しても、あまり的確な答えは得られないでしょう。

海外不動産投資を勉強できる本
海外不動産投資は現地の新しい情報を得て投資判断をすることが重要ですが、その判断のもとになるのが体系だった基本知識です。
この章では、初心者の方が不動産投資について、基本的知識の基盤を勉強するのに役立つ本を紹介します。
頼れる!海外資産―アメリカ戸建て投資のはじめ方
著者の石原博光氏は、自宅を担保に始めた日本でのアパート経営の経験と資金をもとに、10年後の2012年にはアメリカへ移住し海外不動産投資をスタートさせた人です。
まったくの不動産投資の素人からスタートし、現在、国内物件以外にアメリカでも6件の不動産
を所有している実績は、これから海外不動産投資を始める人へ、その魅力やノウハウを語るに相応しい方でしょう。
特にアメリカでの海外不動産投資に興味がある方にとっては必読の良書です。
日本人が絶対に知らない アメリカ不動産投資の話
3年間で約1700棟の物件を販売した実績を持つ、今、注目度の高い不動産会社「株式会社・オープンハウス」のエグゼクティブ・スタッフが、本邦初公開の知識を惜しげもなく明かした書籍です。
日本に居ながら日本語で取引が可能な「アメリカ不動産投資」について、物件選びから購入方法、管理業務までのすべてがわかります。
こちらも、アメリカ不動産投資に興味のある方にとっては必見の良書です。
究極の海外不動産投資
著者の内藤忍氏は、一般社団法人海外資産運用教育協会の代表理事として、海外不動産投資の魅力を「海外にある成長力に投資できること」と語り、資産運用の重要性を広めています。
先進国のアメリカ、新興国のマレーシア、タイ、フィリピン、カンボジアを中心に、それぞれの国で不動産投資を行う上で狙い目となる地域、物件の特徴など、海外不動産投資で成功するために必要な情報が、この一冊に詰まっています。
はじめての海外不動産投資
著者の荒木杏奈氏は、SBIグループを経て2012年にカンボジアの金融機関に勤務後、2013年に独立し国際不動産サービスを展開しています。
本書はカンボジアの不動産投資を中心とした内容で、口座開設からエージェント選びまで詳細な内容に及びます。カンボジアに興味ある方のみならず、アジア地域の不動産投資を考えている方にとって、とても参考となる情報が満載です。
海外不動産投資を勉強できるポータルサイト3選
書籍で海外不動産投資に関する体系的な知識や気になる地域の情報を得たあとは、ネット上のポータルサイトで勉強すると、現在進行性の新しい情報に触れることができます。
この章では、特におススメの3つのポータルサイトを紹介しますので、投資先国の具体的物件を検討する際にご利用下さい。
セカイプロパティ
セカイプロパティは株式会社BEYOND BORDERS(2015年創業)が運営する、海外不動産の購入から売却までをワンストップでサポートする業界最大級のポータルサイトです。
会員数は約2.5万人で、紹介可能な物件はアメリカ・東南アジア・オーストラリアなど12か国436件もの数を誇ります(2022年12月時点)。
定期的にオンラインセミナーが開催されていますので、興味ある方は一度参加してみるのもいいでしょう。
グローバルホームズ
グローバルホームズは株式会社 DI Continents(2015年創業)が運営する、海外不動産投資の初心者向けに厳選した不動産投資物件をご紹介するポータルサイトです。
イギリス、ハワイ、アメリカ、フィリピン、タイ、カンボジアなどの投資物件を掲載し、海外不動産投資セミナーの開催情報、著名人による不動産投資コラムなど、有益な情報も多数掲載されており、海外不動産に関するコンサルティングも実施しています。
Asset Ocean(アセットオーシャン)
Asset Oceanはアセットオーシャン株式会社が運営する、海外不動産投資やセカンドハウス・移住のための物件を紹介するポータルサイトです。
不動産ライセンスを持ち5年以上の業界経験があるスタッフが信頼出来る物件のみを紹介しています。
前章のおススメ書籍で取り上げた「はじめての海外不動産投資」の著者である、荒木杏奈さんが講師を務めるオンラインセミナーをはじめ、各種サービスが充実しているのでおススメです。

海外不動産投資勉強のポイント①オーナーチェンジ物件
オーナーチェンジ物件とは、入居者がいる状態で売りに出された物件のことをいいます。オーナーチェンジ物件を購入すると、物件だけでなく入居者との賃貸契約も新しいオーナーに引き継がれます。
最初から入居者がいるため空き室リスクがありませんが、その実態はどのようなものなのかを見ていきましょう。
なぜオーナーチェンジ物件を売るの?
オーナーチェンジ物件は入居者を探す手間がはぶけて便利ですが、物件を売却する理由が気になるところです。実際のところは、下記のような理由で物件が市場に出回る傾向がありますので、利用しようと思う方は参考にして下さい。
- オーナーが不動産投資を継続することが困難となった
- オーナーがまとまった資金が必要になった
- オーナーが他の物件に買い替える
- オーナーにとって都合のいい売却タイミングであった
オーナーチェンジ物件の危険性とリスク
オーナーチェンジ物件についての売却理由がわかっても、他に危険性やリスクがないわけではありません。
下記のような事態も想定されますので、購入前に可能な限り情報を取るなどの慎重さも必要です。
- 既存入居者との契約はそのまま引き継ぐ必要がある
- 入居者が居るため室内状況の確認が原則できない
- 既存入居者の信頼性が事前に把握できない
- 悪質なオーナーチェンジ物件も存在する
最後の悪質なオーナーチェンジ物件というのは稀ですが、購入後すぐに入居者が退去してしまう、いわゆる準備された「サクラ」で騙させられるケースもあるので注意が必要です。
オーナーチェンジ物件が安い理由
オーナーチェンジ物件は購入者が投資家であるケースが殆どであるため、居住用物件よりも安いことが一般的です。
投資家が物件の購入を決めるポイントは「利回り」であり、国やエリアにもよりますが最低でも5~7%なければ検討の余地もないでしょう。
その利回り率は下記の計算式で算出されます。
< 利回り率の計算式 >
(月額賃料×12ヵ月)÷購入価格×100
月額賃貸料が相場と同じか低い場合は、物件価格を下げて利回りを高くすることでしか投資家はメリットを感じてくれません。そのため居住用物件よりも安い価格となる傾向があります。

海外不動産投資勉強のポイント②家賃収入の落とし穴
海外不動産投資の目的がインカムゲインであることが多いですが、物件を購入したからといって必ずしも順調に家賃収入を得られるわけでもありません。
この章では事前にそういったリスクを未然に防ぐために事例を紹介しますので、是非、参考として下さい。
家賃収入を得られず失敗した事例
海外不動産投資には、下記のような日本では考えられないようなリスクが存在します。
プロジェクトが頓挫する竣工リスク
海外不動産投資のハイリスク・ハイリタ―ンのところで説明しました通り、東南アジアなどの国では竣工リスクがあります。
物件が完成しなければ家賃収入どころの話ではなくなりますので、できるだけ大手デベロッパーが仲介する物件を選ぶなどの安全対策が必要です。
物件の劣化による空室リスク
海外不動産は物件が日本から遠く離れているため、そう簡単に自分の目で状態を確認しに行くことができません。
そのため管理会社の管理状態が悪いと物件の劣化が進んで、建物の状態が通常よりも早く悪くなることがあります。
空室状態が長く続くので確認のために、何年かぶりに現地へ行ってみて初めてそのことが判明したということも起こりえます。
このような事態を避けるためには、信頼できる管理会社に管理を委託したり、現地情報を伝えてもらう頻度を多くすることが必要です。
保証賃料が入らないリスク
海外不動産の購入を後押しする制度として、サブリース契約といって物件をサブリース会社が借り上げ、入居者の有無にかかわらず一定の賃貸料金を保証するものがあります。
しかし、契約更新時に保証賃料を大幅に値下げされたり、最悪の場合はサブリース会社が逃げてしまうこともまれにあります。
したがって契約の前に契約内容をしっかり確認することや、サブリース会社の過去の実績などをきっちり調べることが必要です。
家賃収入が送金できないリスク
自国通貨の海外送金に規制をかけている国もあり、せっかく得た家賃収入を現地の管理会社で送金対応してもらえないことがあります。
このような事態に陥る前に、事前に投資先国の送金規制をチェックして、規制がある場合は、物件自体を購入しないことが大切です。
副業禁止の会社員や公務員は海外不動産投資の家賃収入を秘密にできる?
近年では政府の方針もあって副業が解禁となっている企業が多いですが、中にはまだ副業禁止の企業があったり、公務員のように不動産投資といえど申請が必要なケースがあります。
日本では全世界所得課税という制度をとっており、海外に不動産を所有し家賃収入を得ている場合は、基本的に日本でも確定申告が必要です。
確定申告することによって住民税が上がることから、家賃収入であることまでは特定されませんが、何らかの副収入があることが勤め先にバレます。
会社員や公務員の場合、住民税を「特別徴収(給与天引き)」の方法で納めているため、このようなことが起こるのです。
したがって、確定申告の際に住民税の納付方法を「特別徴収」ではなく、「普通徴収」にすることで、勤め先に副業がバレるのを防ぐことができます。
これは「普通徴収」が給与からの天引きではなく、各都道府県から送られてくる納税通知書に基づいて個人で住民税を納める方法だから可能になるのです。

海外不動産投資の勉強についてよくある質問
海外不動産投資の勉強についてよくある質問をまとめました。
海外不動産投資で副収入を得られるまではどの程度の期間の勉強が必要ですか?
海外不動産投資で副収入を得るには、今回の記事で解説してきたような方法で勉強することが必要ですが、副収入が入るまでにかかる期間は諸条件が複雑に絡みます。
投資先国、不動産会社、物件、現地管理会社、入居者などと決めることが多く、資金力なども影響するので、家賃収入が入るまでの過程は自分の思い通りにならないことが多いでしょう。
したがって、勉強するだけでなく少額投資からでもいいので、まず始めてみることが大切です。
勉強のために投資を始めるのであればどの国がいいですか?
海外不動産投資でのポイントは、前述の通り人口増加と経済成長が継続している国やエリアを選ぶことです。
両方の要素を兼ね備えている国は、東南アジア諸国やエジプトといった新興国が有望であり、生産年齢人口や都市人口率、GDPなどを調べることで、候補国が絞れるでしょう。
そういった国であればインカムゲインとキャピタルゲインの両方を狙うことも可能です。
海外不動産投資の勉強のためだけにセミナーに参加するのは間違いですか?
セミナー参加することの大きなメリットは、海外不動産投資の基本知識だけでなく、開催する不動産会社が強みをもっている国や地域の最新情報が得られることです。
セミナーに参加して相談会でも話を聞いたからといって、実際に契約する必要もないので、できる限り多くのセミナーへ参加し、ご自身の知識を高めるといいでしょう。
海外不動産投資に役立つ資格はある?
海外不動産投資に役立つ資格は、投資先国によっていくつかあり、下記のようなアメリカで取得できるものが比較的汎用性が高いので参考として下さい。
REセールスパーソンライセンス
不動産投資に関する国際資格の代表格で、わかりやすく言えばアメリカ版の宅建に相当し、この資格を取ることで海外での不動産売買が可能になります。
REブローカー・リアルエステートブローカー
REセールスパーソンライセンスの上級資格なので難易度が高いです。資格を取得できれば不動産業を運営することが可能となったり、国際的なコンサルティング会社、投資系金融機関などの就職に有利となります。
アメリカ版不動産鑑定士
日本の不動産鑑定士のモデルとなった資格で、実務重視なのでアメリカ以外の国でも実用可能なことで有名です。

まとめ
近年、海外不動産投資への関心が高まっていますが、残念ながら他の投資と比べて情報が少ないのが実情ですので、今回の記事で勉強方法を詳しく紹介しました。
どのような投資でも、基本知識を体系的に勉強し自分の中に落とし込むことが必要です。その上でセミナーに参加したり、不動産会社へ問い合わせながら、投資先国や物件を絞っていくといいでしょう。
海外不動産投資は高い投資効果が期待できますが、国内不動産投資よりも勉強すべきことも多く、リスクにも気を配る必要がありますので、信頼できる不動産会社をパートナーとすることが重要です。
また、現地へ足を運んで物件や周辺環境を自分の目でチェックすることで、海外不動産投資の成功確率が高くなります。不動産会社などが主催する現地視察ツアーは、リーズナブルな値段のものが多いので、積極的に利用することをおススメします。
一般的に海外不動産投資は長期間にわたりますので、絶えず情報を収集しながら行うことで、人生において助けとなる心強い資産を築くことができるでしょう。